ティーニー・ベク

ティーニー・ベク：ジョチ・ウルスの悲劇のハン

ティーニー・ベク（? - 1342年）は、ジョチ・ウルスの第11代ハンであり、ウズベク・ハンの息子として生まれました。彼は、父の後継者として期待されましたが、その治世は短く、兄弟間の権力争いの中で悲劇的な結末を迎えます。

生涯

ティーニー・ベクは、ウズベク・ハンと正妃タイ・ドゥラの間に生まれました。弟に、後のハンであるジャニベクがいます。イブン・バトゥータの旅行記には、ウズベク・ハンの宮廷での兄弟の様子が記録されており、ティーニー・ベクが第一王子として、ジャニベクが第二王子として、父の玉座の隣に座っていたと記されています。バットゥータは、ティーニー・ベクを容姿端麗で、父から後継者として指名された人物として描いています。

しかし、マムルーク朝の歴史家シュジャーイーの年代記によれば、ウズベク・ハンはティーニー・ベクをチャガタイ・ウルスへの遠征に派遣中に亡くなり、その隙にジャニベクが策略を巡らせ、ティーニー・ベクを殺害してハン位を奪ったとされています。ティーニー・ベクの在位期間が短いため、歴史書によっては彼の名が省略されることもあります。

名前

ティーニーという名前は、ペルシア語で「身体」や「肉体」を意味する「タン」に由来し、「肉体の」「有形の」という意味を持っています。これは、弟のジャニベク（「魂の」の意味）と対になる意味合いを持っています。

登場作品

ティーニー・ベクは、映画『オルド 黄金の国の魔術師』（2012年、ロシア）に登場します。

参考文献

* イブン・バットゥータ 『大旅行記〈4〉』（イブン・ジュザイイ編、家島彦一訳注、東洋文庫、平凡社、1999年9月）

ティーニー・ベクは、ジョチ・ウルスの歴史における短くも重要な役割を果たした人物です。彼の生涯は、中世の遊牧国家における権力闘争の激しさを物語っています。

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