ティーポット作戦

ティーポット作戦（Operation Teapot）は、アメリカ合衆国が1955年前半にネバダ核実験場（NTS）で遂行した一連の核兵器実験シリーズであり、同国による核実験としては第14次にあたります。先行するキャッスル作戦に続く位置づけであり、この後にはウィグワム作戦が実施されました。

この作戦では、核兵器の影響下における軍事的な戦術や民間防衛策に関する知見を得るため、多様な種類の実験が行われました。特に注目すべき実験の一つに「ワスプ」実験があります。これは陸軍が実施した「デザート・ロックVI」演習の一部として行われました。この演習では、「レイザー」部隊と呼ばれる兵士たちが、核爆発後のまだキノコ雲が立ち込める危険な状況下で、爆心地からわずか900メートル以内という極めて近距離での作戦行動を敢行しました。これは、核兵器が使用された実際の戦場における部隊の運用方法や、兵士・装備への影響を評価することを目的としていました。

また、「ビー」実験も軍事的な側面を持つ実験です。1955年3月に実施されたこの実験には、海兵隊から派遣された「実験部隊」が参加し、核爆発が発生した環境下での部隊の行動や耐久性に関する訓練・評価が行われました。

ティーポット作戦の中で、特に民間防衛の観点から重要視されたのが、1955年5月5日に行われた「アップル2」実験です。この実験の主目的は、核爆発が様々な種類の建築物に与える影響を実証的に評価することでした。そのため、実験場には「サバイバル・タウン」というニックネームが付けられた模擬市街地が建設されました。ここには、木造家屋、煉瓦造りの建物、鉄筋コンクリート構造物など、多様な構造や建材を用いた建築物が配置され、実際の核爆発に晒されました。爆発による各建築物の破壊の様子は詳細に記録され、当時のドキュメンタリー映像としても残されています。なお、この映像は「キュー作戦」という別名で言及されることもあります。この実験で使用された一部の建物は、今日でもネバダ核実験場のエリア1にそのままの姿（または破壊された姿）で残されており、当時の実験の痕跡を今に伝えています。

ティーポット作戦は、単に新しい核兵器の開発を進めるだけでなく、核兵器が存在する時代における軍隊の戦い方、そして市民社会がいかに核の脅威から身を守るかという、当時の喫緊の課題に対する実践的な検証を目的とした、広範かつ重要な核実験シリーズであったと言えます。これらの実験で得られたデータは、その後の米国の軍事戦略や民間防衛計画に大きな影響を与えたと考えられています。

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