テイショーン・プリンス

テイショーン・プリンス：堅守速攻を体現した名フォワード

テイショーン・プリンス（Tayshaun Durell Prince, 1980年2月28日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州コンプトン出身のバスケットボール選手。NBAのデトロイト・ピストンズを中心に活躍し、その堅実なディフェンスと勝負強いプレイでチームを牽引した。

大学時代

ケンタッキー大学では、ワイルドキャッツの主力として活躍。平均13.1得点、5.6リバウンドを記録し、NCAAトーナメントの常連となった。フリースロー成功率も高く、2000-2001シーズンにはSECリーダーに輝いている。同シーズンにはSECプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、AP通信オールSECチームにも選出されるなど、数々の栄誉に輝いた。SECトーナメントでは1999年と2001年に優勝し、2001年にはMVPも受賞している。

NBAでの活躍

2002年のNBAドラフトで、デトロイト・ピストンズから1巡目23位指名を受け入団。ルーキーシーズンはベンチスタートが多かったものの、プレイオフではオーランド・マジック戦で先発に抜擢され、トレーシー・マグレディとのマッチアップを任されるなど、重要な役割を担った。フィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦では、試合終了間際にターンアラウンドフックシュートを決めるなど、印象的な活躍を見せた。

2003-04シーズンには先発に定着し、チームはNBAファイナルに進出。ロサンゼルス・レイカーズとの対戦では、コービー・ブライアントを封じ込めるなど、守備面での貢献が光り、チームのNBA制覇に大きく貢献した。

翌2004-05シーズンは全82試合に出場し、オールディフェンシブ2ndチームに選出。MIP（最も成長した選手）の候補にも挙がった。チームは2年連続でファイナルに進出したが、サンアントニオ・スパーズに敗れ、連覇はならなかった。

その後もピストンズの中心選手として活躍を続けたが、2013年にメンフィス・グリズリーズへトレード。その後、ボストン・セルティックスを経て、2015年にピストンズに復帰を果たした。ミネソタ・ティンバーウルブズでのプレーを経て、2017年に現役を引退。引退後はグリズリーズのアシスタントGMに就任し、フロントスタッフとしてチームに貢献している。

「ザ・ブロック」

プリンスのキャリアを語る上で欠かせないのが、2004年のインディアナ・ペイサーズとのカンファレンスファイナルで見せた「ザ・ブロック」だ。レジー・ミラーのレイアップを背後から跳び上がりブロックしたこのプレイは、ピストンズの勝利を決定づけ、その後の優勝にも繋がる象徴的な瞬間として、今も語り継がれている。

プレイスタイル

プリンスの最大の武器は、218cmを超える長いウイングスパンを生かしたディフェンス能力。相手のエーススコアラーを徹底的にマークし、得点を封じ込めるエースストッパーとしての役割を担った。また、オフェンス面でも左利きであることや、内外角問わずシュートを決められる器用さでチームに貢献。スモールフォワード、シューティングガード、ポイントガード、パワーフォワードと複数のポジションをこなせるユーティリティ性も持ち合わせていた。

勝負強さも持ち合わせており、重要な場面でビッグプレイを連発。「ザ・ブロック」以外にも、2008年のプレイオフ準決勝オーランド・マジック戦でのヘド・ターコルーのダンクをブロックするなど、記憶に残るプレイを数多く残している。

私生活

2005年に長年交際していたファラ・ブラウンと結婚。2006年には長男が誕生している。また、西ブルームフィールドに豪邸を購入したり、ケンタッキー州に農地を購入するなど、成功したアスリートとしての側面も持ち合わせている。

テイショーン・プリンスは、NBA史に残る名ディフェンダーであり、勝負強いクラッチプレーヤーとして、多くのファンに愛された。彼のピストンズでの活躍は、NBAの歴史に深く刻まれている。

もう一度検索