テイスト・オブ・ハニー (バンド)

テイスト・オブ・ハニー：甘い成功と変遷の音楽史

テイスト・オブ・ハニーは、1970年代後半に一世を風靡したアメリカの音楽グループです。「今夜はブギ・ウギ・ウギ」や「SUKIYAKI」（上を向いて歩こう）のカバーで知られ、ディスコ・ブームを象徴する存在として世界的な人気を博しました。

誕生と初期

1971年、ロサンゼルスの地方バンド「Exit」のベーシストだったペリー・キブルは、バンド解散後、「サウンドステージ・ナンバーワン」というバンドに加入。そこで出会ったのが、後にテイスト・オブ・ハニーの顔となるジャニス・ジョンソンでした。ジャニスは幼少期から音楽に親しみ、ジャズクラブでマイルス・デイビスの前座を務めるなど、才能を開花させていました。

サウンドステージ・ナンバーワンも解散後、ペリーとジャニスは音楽活動を継続。カーリタ・ドーハンを加え、女性ボーカルを前面に出すスタイルを確立しました。当初はドラムレスの編成でしたが、後にドナルド・ジョンソンが加入し、1972年には6人体制となり、「テイスト・オブ・ハニー」と改名。グループ名は、ジャニスが愛する楽曲「A Taste of Honey（蜜の味）」に由来します。

成功への道

マネジメント会社との契約後、バンドは米軍基地を巡る慰問ツアーに参加。韓国、日本（沖縄）、台湾、フィリピンなどを訪問し、1974年には「世界歌謡祭」に出演しました。1975年にはメンバーチェンジを経て8人体制となりますが、大規模な編成を維持することは難しく、メンバーを整理し5人体制へ移行しました。

1976年、リードシンガーとカーリタが脱退しグループは危機を迎えますが、ヘイゼル・ペインが加入。ジャニスとヘイゼル、ペリー、ドナルドの4人体制で再出発しました。クラブでの演奏活動を通じて知名度を上げ、マイゼル兄弟の目に留まり、キャピトル・レコードとの契約を獲得しメジャーデビューを果たします。

輝かしい栄光

1978年、「今夜はブギ・ウギ・ウギ」で全米デビュー。同曲はディスコ、ポップス、ソウルの3チャートを制覇し、プラチナム・レコードに認定される大ヒットとなりました。グラミー賞では最優秀新人賞を受賞し、コモドアーズやテディ・ペンダーグラスらとのツアーも成功させました。当時、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の影響でディスコブームが到来しており、テイスト・オブ・ハニーの成功を後押ししました。

その後

2作目の商業的成功の後、ペリーとドナルドが脱退し、ジャニスとヘイゼルのデュオとなります。坂本九の「上を向いて歩こう」の英語カバー「SUKIYAKI」が、ソウル、アダルト・コンテンポラリーチャートで1位を獲得。1980年代前半にバンドは解散しましたが、ジャニスはソロ活動を続けています。

テイスト・オブ・ハニーは、ディスコという時代を象徴する音楽と、メンバーチェンジを経ながらも音楽への情熱を絶やさなかったグループの軌跡として、音楽史にその名を刻んでいます。

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