テクニカル・エクスタシー

ブラック・サバス『テクニカル・エクスタシー』

『テクニカル・エクスタシー』（Technical Ecstasy）は、1976年にブラック・サバスが発表した7枚目のスタジオ・アルバムです。前作『サボタージュ』から約1年半ぶりのリリースであり、バンドにとって初のコンピレーション・アルバム『ウィ・ソールド・アワ・ソウル・フォー・ロックンロール』（1975年）を挟んで発表されました。

アルバムの特徴

本作は、これまでのブラック・サバスの音楽性から新たな方向性を模索した意欲作として知られています。ジャケットのアートワークは、ピンク・フロイドなどのアルバムジャケットも手掛けたことで知られるデザイン集団ヒプノシスが担当しました。彼らの作品らしい、印象的で奇抜なデザインがアルバムのイメージを彩っています。

収録曲では、ビル・ワードがリード・ボーカルを務める「イッツ・オーライ」が異彩を放っています。ワード自身が作曲を手掛け、オジー・オズボーンもその出来栄えを気に入り、ワードのボーカルを後押ししたというエピソードが残っています。また、「ロックン・ロール・ドクター」もミュージック・ビデオが制作されました。

セールスと評価

発表当時、本作はセールス面では大きな成功を収めることができませんでした。本国イギリスでは、コンピレーション・アルバムを除くと初めて全英アルバムチャートのトップ10入りを逃し、アメリカでもスタジオ・アルバムとしては初めて全米トップ40入りを逃す結果となりました。しかし、発売から21年後の1997年には、アメリカでゴールドディスクに認定され、その音楽性が再評価されることとなりました。

収録曲

全曲ともオジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードの共作です。

1. バック・ストリート・キッズ - "Back Street Kids" – 3:49
2. ユー・ウォント・チェンジ・ミー - "You Won't Change Me" – 6:37
3. イッツ・オーライ - "It's Alright" – 3:58
4. ジプシーの誘惑 - "Gypsy" – 5:08
5. ムーヴィング・パーツ - "All Moving Parts (Stand Still)" – 4:58
6. ロックン・ロール・ドクター - "Rock 'n' Roll Doctor" – 3:25
7. シーズ・ゴーン - "She's Gone" – 4:51
8. きたない女 - "Dirty Women" – 7:09

カバー

イッツ・オーライ
ガンズ・アンド・ローゼズ - ライブで演奏。ライブ・アルバム『ライヴ・エラ '87〜'93』で公式に発表。
きたない女
ヘラコプターズ - コンピレーション・アルバム『Cream of the Crap Vol. 2』（2004年）に収録。

参加ミュージシャン

オジー・オズボーン - ボーカル
トニー・アイオミ - ギター
ギーザー・バトラー - ベース
ビル・ワード - ドラムス、ボーカル

アディショナル・ミュージシャン

ジェラルド・ウッドラフ - キーボード
マイク・ルイス - ストリングス・アレンジ、指揮(on 7.)

『テクニカル・エクスタシー』は、ブラック・サバスの音楽的な冒険心と、新たな表現への挑戦が詰まった作品と言えるでしょう。

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