テクノ (ダンスミュージック)

テクノについて

テクノとは、1980年代にアメリカのデトロイトで生まれたエレクトロニック・ダンス・ミュージックの一ジャンルです。この音楽は、シンセサイザーやドラムマシンなどの電子楽器を駆使したリズミカルな音作りが特徴です。テクノの発展は、クラフトワークを代表とするドイツの電子音楽や、ミシガン州のシカゴ・ハウスとも深い関係があります。特に、テクノはシカゴ・ハウスの影響を受けながらも、独自のアート性と社会的メッセージを持つ音楽として成長してきました。

歴史的背景

テクノの前史には、1970年代にクラフトワークやYMOなどのアーティストが電子音楽をポップスに取り入れようとした試みがあります。これらのアーティストが生み出した音楽は、シンセポップとして親しまれ、商業音楽におけるシンセサイザーの重要性を認知させました。

1980年代に入ると、アメリカのシカゴで発展したハウス・ミュージックが登場します。シカゴのクラブでは、DJたちが反復的なビートを用いたダンスミュージックを実験し始めました。ここから、音楽作成の未経験者であるDJやクラブの常連が、DIYでレコードを制作する動きが生まれます。こうして生み出された「シカゴ・ハウス」や「アシッド・ハウス」がシーンを席巻しました。

デトロイトでのテクノの誕生

1980年代の中盤、シカゴの音楽がデトロイトに影響を与えます。ホアン・アトキンス、デリック・メイ、ケヴィン・サンダーソンの「ビルヴィレ・スリー」として知られるアーティストたちは、シカゴ・ハウスをベースにした新たな音楽運動を始めました。彼らの音楽は、シカゴの享楽的な側面とは対照的に、厳しい現実を反映したシリアスなものです。アトキンスは、自身の音楽にアフロ・フューチャリズムと未来主義を強調しており、テクノを包含する思想を表現しました。

転機と広がり

1988年、デトロイトのレコードが注目され、イギリスのヴァージン・レコードから特集盤が発売されます。ホアン・アトキンスは「テクノ」という名称を自身の音楽に付け、このアルバムによって名称が広まるのを助けました。「テクノ! ザ・ニュー・ダンス・サウンド・オブ・デトロイト」と名付けられたアルバムは大ヒットし、世間でのテクノの認知度が一気に上昇しました。

1988年から1991年にかけて、イギリスでは「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」というムーブメントが展開され、シカゴ・ハウスとデトロイト・テクノが融合しながら大きな波を生み出しています。テクノはその過程で進化し、ヨーロッパ全域に広まっていきました。

特に、1990年代に入ると、レイヴという文化が定着し、よりダンスミュージックとしての特性を強めていきました。この流れは、テクノがハードコア、ジャーマントランス、ガバなど、多様なサブジャンルを生み出すきっかけとなります。

日本におけるテクノ

日本でもテクノは広まり、1993年にケン・イシイがヨーロッパのレーベルに採用されます。彼は日本発のテクノアーティストとして国際的に成功を収め、そこから日本のテクノシーンが形成されていきました。また、「ソニーテクノ」というプロジェクトによって国内でのテクノの普及も進められました。

代表的なアーティスト

デトロイト・テクノの主要なアーティストには、ホアン・アトキンス、デリック・メイ、ケヴィン・サンダーソンなどがいます。また、ジェフ・ミルズやリッチー・ホゥティン、エイフェックス・ツインといったアーティストも特に注目される存在です。

テクノは現在も進化し続けており、エレクトロニックミュージックの中で重要な位置を占めています。新しい世代のアーティストたちが登場し、イノベーションを続けているのです。

もう一度検索