テクノデリック

アルバム『テクノデリック』の詳細

『テクノデリック』は、1981年11月21日にアルファ[[レコード]]からリリースされた、イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）の6枚目のアルバムです。この作品は、前作『BGM』に続き、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人が作詞を手掛け、それをピーター・バラカンが英訳しました。作曲に関しても、細野、高橋、坂本がそれぞれ単独で製作した曲と共作も含まれています。プロデューサーとしては「細野晴臣＋YMO」という新しい形態が取られています。

先行シングルは存在しなかったものの、後に「体操」がシングルとしてリリースされました。細野はこのアルバムを「非常に暗い、トンネルのようなサウンド」と特徴づけています。タイトルの「テクノデリック」は「テクノ」と「サイケデリック」をつなぎ合わせた造語であり、全体としてミニマル・ミュージックを取り入れているのが特徴です。しかし、細野は後にこのスタイルについて「YMOの中で唯一、発展の可能性を秘めながらも、結局は発展し損ねた音楽のスタイル」と析出しています。

背景

『テクノデリック』の制作は、前作『BGM』のリリース日と同日に、大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』の制作が進んでいたことと重なります。この時期、高橋幸宏はレコーディングのためにロンドンに向かい、細野、大村憲司、松武秀樹も同行しました。5月には坂本のソロ曲「ライオット・イン・ラゴス」がイギリスでシングルとしてリリースされ、同月にメンバー全員が参加した作品が続々と発表されていきました。

また、高橋はこの作品以降、「高橋ユキヒロ」から「高橋幸宏」に名義を変更します。音楽活動の合間に、坂本はソロアルバムの制作を行い、細野のプロデュースによる様々なアーティストのアルバムも続くなど、活発な動きが見られました。

録音

レコーディングは1981年3月21日からスタートし、10月13日まで長期間にわたって行われました。プロデュースクレジットは、細野晴臣の名前の後に「+YMO」と続く形に変更されたのは、高橋の提案によるものでした。以前のアルバム『BGM』ではデジタル録音を導入しましたが、このアルバムではアナログ録音が主流となり、音質の問題から「体操」を除いてアナログに戻っています。

また、音楽機材にはプロフェット5やアープ・オデッセイが使用されており、シンセサイザーの音が田中一郎によって「うねうね」と表現されています。高橋龍一は、韓国旅行を通じてインスパイアを受けた作品も持っていますが、細野は音楽制作の中で不調を抱え、その感情が「灰色の段階」という曲名に反映されました。

リリースとアートワーク

アルバムは1981年11月21日にLPおよびカセットテープ形式で発売されました。ジャケットデザインはアートディレクターの奥村靱正によるもので、2種類のデザインが存在します。初回盤にはメンバーの写真が使用されており、その後再リリースに際しても様々なジャケットが存在しています。

『テクノデリック』は1984年と1998年にCD化され、その後もリマスタリングを経て何度も再リリースされています。特に、1999年のリマスター版は、当時の音楽への新たな評価を得ることになりました。

ツアーと評価

本作の発売後に行われたコンサートツアーは「ウィンター・ライヴ1981」と名付けられ、国内の9都市を巡る内容で盛況でした。特に新宿コマ劇場で行われた公演では、観客を巻き込むライブパフォーマンスが印象的でした。

音楽批評サイトや音楽本においても高い評価を得ており、特に音楽情報サイト『オールミュージック』では高い点数が付けられた他、音楽の独自性や革新性についても称賛されています。全体として、YMOが追求する音楽的可能性を極限まで探求した作品として、その位置付けが変わることはありません。

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