新宿コマ劇場

新宿コマ劇場の歴史と魅力

新宿コマ劇場（しんじゅくコマげきじょう）は、東京都新宿区歌舞伎町に位置し、1956年から2008年まで株式会社コマ・スタジアムが運営していた著名な劇場です。この劇場は「演歌の殿堂」として広く知られ、数多くのミュージカル作品や特別公演が行われました。また、新宿コマ劇場は映画館の「新宿コマ東宝」と、映画館としても利用される「シアターアプル」を隣接させていました。

創設から発展までの道のり

新宿コマ劇場が建設された場所は、1950年に開催された『東京産業文化博覧会』のアトラクションの一環でした。博覧会終了後、東宝がその跡地を購入しましたが、当初は新劇場の建設に消極的でした。そのため、関連会社のコマ・スタジアムが設立され、大阪にあった梅田コマ・スタジアムの姉妹劇場として1956年に開場しました。創設者の小林一三が理念として掲げた「新しい国民演劇の殿堂」は歌舞伎町のイメージを形作りました。

劇場には2,088席が設けられ、首都圏でも最大級の規模を誇り、多くの人々が訪れる場所となりました。

特徴的な公演と名声

開館当初、新宿コマ劇場で上映されたのは洋画『オクラホマ!』でしたが、その後はミュージカル公演が中心となりました。特に1980年代には、千葉真一が率いるジャパンアクションクラブ（JAC）による新作ミュージカルの数々が上演され、新宿コマ劇場は日本初演の舞台として名を馳せました。代表的な作品として『アニーよ銃をとれ』や『ピーターパン』などがあり、多くの観客の心を掴みました。

また、「演歌の殿堂」としても名高いこの劇場では、美空ひばりや北島三郎、氷川きよしといった著名な演歌歌手の特別公演が繰り広げられました。特に美空ひばりの存在は特異で、彼女の公演をきっかけに多くのファンを魅了し続けました。

さらに、サザンオールスターズによる「年越しライブ」は、「年越しライブの元祖」として位置づけられ、歌舞伎町のイベントとして定着しました。

構造と舞台演出

新宿コマ劇場の舞台はギリシャ時代の劇場様式からインスパイアされたもので、特徴的な三重の廻り舞台を備えています。円形舞台の回転は、独楽のような動きを模しており、その名も「コマ」に由来しています。この特異な舞台構造は多様な演出効果を生み、数多くの演目にユニークな要素を加えてきました。

かつての栄光と閉館の経緯

1970年代には劇場も絶頂期を迎え、年間100万人以上を動員する人気スポットとなりますが、1990年代に入ると演歌の人気低迷が影響し始めます。コマ・スタジアムの業績も悪化し、不振から脱却するための再建策を模索するも、状況は改善されませんでした。

2008年には東宝と再開発計画に合意したものの、最終的には12月31日の『年忘れにっぽんの歌』をもって閉館が発表されました。この劇場のフィナーレは、多くのファンに惜しまれながら迎えられ、閉館時には「52年間夢をありがとう」というメッセージが届けられました。

跡地とその後の展開

新宿コマ劇場が取り壊された後、跡地には「新宿東宝ビル」が2015年に完成しました。このビルにはTOHOシネマズのIMAXシアターやホテルが入居し、新たな拠点として発展を続けています。演劇の中心地としての役割は姿を消しましたが、新宿の文化的存在としての足跡は今もなお、語り継がれています。新宿コマ劇場の影響力は、その独自の歴史を持ちながら、今も新たな形で受け継がれています。

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