テックステップ

テックステップ (Techstep)

テックステップは、ドラムンベースのサブジャンルであり、1990年代後半に隆盛を極めました。その特徴は、ダークでSF的な雰囲気、シンセサイザーやサンプリングを多用した音源、インダストリアルやテクノからの影響、そして「クリニカル」と評される無機質なサウンドにあります。

様式

テックステップは、テクノと共通する要素を持ちます。抽象的な人工ノイズをコラージュのように重ね合わせ、高エネルギーを生み出す手法は共通しています。楽器の生音はほとんど使用されず、クオンタイズされたドラムマシンやパーカッションの音色が好まれます。音楽構造においてはドラムンベースの形式を踏襲し、ドロップを重視する傾向があります。

ベース音へのこだわりも特徴的で、ジャングルのような低音の太さよりも、音色の追求に重点が置かれます。プロデューサーたちは、より歪んだ、ひねくれたベース音を競い合いました。

来歴

テックステップは、1995年頃にジャングルやハードステップから派生しました。ジャンルの名前は、エド・ラッシュとトレースという2人のアーティストが、そのサウンドの方向性を示すために作ったものです。「テック」という言葉は、デトロイト・テクノのような洗練されたスタイルではなく、ベルギーのハードコアサウンドを指していました。

テックステップは、ジャングルやドラムンベースに含まれるポップな要素への反発として生まれました。R&Bの要素を排除し、ハードコアなサウンドと、若者の反資本主義運動や、映画『ブレードランナー』や『ロボコップ』のようなディストピア的な世界観の影響を受け、シンプルで冷たい音に満たされています。

テックステップの原型の一つとして、1995年にS.O.U.R.レコーディングからリリースされた、T-Powerの「Mutant Jazz」のDJトレースによるリミックスが挙げられます。このリミックスは、stepping beatsと歪んだReese basslineを特徴とし、テックステップの代表的なサウンドとなりました。

初期のテックステッププロデューサーたちは、後にニューロファンクというスタイルを確立していきます。トレース、エド・ラッシュ & オプティカル、ニコ、フィアース、ティービー、ドム & ローランド、ドック・スコット、テクニカル・イッチなどがその先駆者として知られています。ムーヴィング・シャドウ、メタルヘッズ、ノー・Uターン・レコーズ、エモーティフ、レネゲイド・ハードウェアといったレーベルが、このスタイルの発展に貢献しました。

その後、シーンはエヴォル・インテント、エイペックス、ブラック・サン・エンパイア、ドレッドノート、クルート、ノイジア、フェイス、スポア、タイムコードといったアーティストによって牽引されています。

関連項目

ドラムンベース
ニューロファンク
2ステップ・ガラージ
ブレイクビーツ
ブレイクビート・ハードコア
ダブステップ

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