テッサ・モリス＝スズキ

テッサ・モリス＝スズキのプロフィールと業績

テッサ・モリス＝スズキ（Tessa Morris-Suzuki、1951年生まれ）は、日本近代史を専門とするオーストラリアの歴史学者です。彼女はオーストラリア国立大学の名誉教授として、その業績と研究活動を通じて広く知られています。

誕生と教育背景

テッサ・モリス＝スズキはイギリスの外交官の家庭に生まれ、4人の姉の末っ子です。ブリストル大学ではロシアの歴史と政治を学び、学士号を得た後、バース大学にて日本の経済史を専攻し、博士号を取得しました。日本での生活経験を経て、1981年にオーストラリアに移住しました。

職歴

ニューイングランド大学で経済史の上級講師として教鞭をとり、その後准教授、教授として昇進しました。また、オーストラリア国立大学ではアジア太平洋学群の文化歴史言語学部の日本史教授および学部長を務めました。退任後は名誉教授となり、一橋大学で客員教授としても活動しました。さらに、オーストラリア学士院人文系の会員や、オーストラリア連邦政府の外交問題評議会委員、アジア市民権ネットワークの共同代表を歴任しました。

受賞歴

近年の受賞には、2023年に日本近現代史学協会の第1回特別年次講演での表彰、2013年の福岡アジア文化賞学術研究賞などが含まれます。これらの受賞は、彼女の研究が持つ国際的な重要性を示すものです。

研究の特徴と業績

テッサ・モリス＝スズキは、初期の研究をロシア史に集中させた後、徐々に極東地域の近現代史に焦点を移しました。特に日本の戦時中の出来事に関しては、慰安婦問題などさまざまなテーマに対して積極的に意見を発表しています。アメリカ合衆国下院の121号決議に関連して、日本の慰安婦問題を厳しく批判したことで知られています。

2007年に発表した彼女の著作『北朝鮮へのエクソダス――「帰国事業」の影をたどる』では、在日朝鮮人の帰還事業は日本政府が主導したものであると唱え、歴史的な貢献が高く評価されています。しかし、彼女の見解については批判も存在し、特にその全体像を見渡す論稿ではないとの意見もあります。著名なメディアでは、彼女の主張を「事実誤認」と指摘する揶揄も見受けられます。

家族

テッサ・モリス＝スズキの夫は作家である森巣博です。彼女の家族背景も彼女自身の研究や思考に影響を与えていると考えられます。

著作

彼女の著作には、『Shōwa: An Inside History of Hirohito's Japan』や『A History of Japanese Economic Thought』など多数があり、これらは日本の経済や歴史における重要な視点を提供しています。特に、共著や共編著としても数多くの書籍を残しており、アジア太平洋戦争に関する講座やグローバリゼーションの文化政治に関する研究などがあります。

結論

テッサ・モリス＝スズキは、日本近代史において重要な役割を果たす学者であり、その研究成果は今後の歴史研究にも影響を与えることでしょう。彼女の探求心と批判的視点は、歴史学の発展に貢献し続けています。

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