テツノカチドキ

テツノカチドキ

概要

テツノカチドキ（欧字名: Tetsuno Kachidoki、1980年3月25日 - 不明）は、1980年代の日本の地方競馬で一時代を築いた競走馬、および種牡馬です。特に大井競馬場を主戦場とし、南関東公営競馬の頂点に立つ活躍を見せました。東京大賞典を2度制覇したほか、地方競馬所属馬として史上初めて総収得賞金が3億円を突破するなど、数々の記録を樹立しました。佐々木竹見騎手が自身の最強馬と語るなど、騎手からの評価も高かった名馬です。

競走馬時代

テツノカチドキは1982年、3歳時に大井競馬場でデビューしました。この年は1戦し勝利を挙げることはできませんでしたが、翌4歳時には16戦8勝と成績を大きく伸ばします。準重賞のいちょう賞（大井）を制覇し、東京王冠賞にも出走しましたが6着に敗れています。

5歳シーズンは13戦3勝の成績を残しました。東京記念で2着に入った後、かちどき賞を勝利。そして年末の南関東最大のレースである東京大賞典に出走しました。伏兵と見なされながらも、レースでは向こう正面で早めに先頭に立ち、そのまま後続を寄せ付けず押し切って優勝。初のGI級レース制覇を果たし、南関東公営競馬の頂点に立ちました。

6歳を迎えた1985年も精力的に走り11戦3勝。上半期は、2月の川崎記念でカウンテスアップにクビ差の2着、帝王賞ではロツキータイガーの4着と惜敗が続きました。しかし、5月の大井記念からは佐々木竹見騎手とのコンビが始まり、強敵ロツキータイガー不在とはいえスズユウやカウンテスアップといった実力馬相手に圧勝します。さらに6月には福島競馬場で開催された地方競馬招待競走に出走。中央競馬所属馬との対戦となりましたが、芝コースを全く問題にせず、先行抜け出しの競馬で楽勝しました。下半期は、8月の関東盃を59.5kgの斤量を背負いながら勝利します。秋にはジャパンカップ出走権をかけた10月31日の東京記念に出走。60.5kgという重斤量を背負いながら、59kgのロツキータイガーとの壮絶な叩き合いを演じましたが、アタマ差惜しくも敗れ、ジャパンカップへの夢は叶いませんでした。このレースでは、わずかな着差と斤量差から「テツノカチドキの方が強い」という声も多く聞かれました。年末の東京大賞典では連覇を目指しましたが、スズユウ、ロツキータイガーに続く3着に敗れました。

7歳シーズンは9戦1勝。この年唯一の勝利は、前年に引き続き大井記念を制覇したものでした。中央競馬のオールカマーにも挑戦し、ジユサブローの3着と好走しています。

8歳となった1987年は8戦2勝。4月の帝王賞では、最後の直線で豪快な追い込みを見せ、ウメノスペンサーをハナ差捉えて勝利しました。その後はオールカマーを含め4戦しましたが勝利には届きませんでした。しかし、引退レースとして臨んだ暮れの東京大賞典では、1周目のスタンド前から先頭に立つという奇策に出ます。この戦法が見事に成功し、ミハマシヤークに4馬身差をつける圧勝で有終の美を飾るとともに、東京大賞典2勝目を挙げました。この勝利により、テツノカチドキの総収得賞金は、地方競馬所属馬として史上初めて3億円を突破する快挙を達成しました。また、この年の年間収得賞金もワカオライデンを抑えて地方競馬全国リーディング1位となりました。

1988年2月5日、大井競馬場にて引退式が行われ、多くのファンに見送られました。

引退後

競走馬引退後、テツノカチドキは種牡馬となりました。しかし、期待されたほどの産駒成績は残せず、2001年7月には用途変更となり、種牡馬としてのキャリアを終えました。

血統と得意コース

テツノカチドキの父コインドシルバーはダートで活躍した馬であり、テツノカチドキ自身も父と同様にダートコースを得意としていました。一方で、コインドシルバーの産駒には、ビンゴカンタやアサヒエンペラー、エーコーシーザーのように中央競馬で芝レースを主戦場とした馬が多く、マイネルグラウベンやタカラフラッシュといった芝の重賞勝ち馬も輩出されています。これはテツノカチドキが福島競馬場の芝コースで行われた地方競馬招待競走で勝利していることからも、父系に芝適性も持ち合わせていた可能性が示唆されます。

評価・エピソード

歴代最多勝記録を持つ名騎手・佐々木竹見は、テツノカチドキを「私の最強馬」と語っています。また、引退騎手によるエキシビションレースであるジョッキーマスターズにおいても、佐々木竹見騎手はテツノカチドキを騎乗馬として登録しており、その深い信頼と評価の高さがうかがえます。

脚注

（特になし）

外部リンク

競走馬成績と情報 netkeiba
KEIBA.GO.JP
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