テニスコート (ユニット)

日本の演劇ユニット「テニスコート」は、武蔵野美術大学の卒業生である神谷圭介、吉田正幸、小出圭祐の3名で構成されます。彼らは自らを「新古典派ナンセンスコメディを展開するコントユニット」と称し、コントを基盤としながらも、演劇、テレビ、執筆、デザインなど、幅広い分野で独自の表現活動を展開しています。

メンバーはそれぞれに多彩な才能を持ち合わせています。主に脚本・演出を手がける神谷圭介は、イラストレーターやデザイナー、構成作家としても活動し、『あたらしいみかんのむきかた』シリーズなどの書籍でその多才ぶりを発揮しています。吉田正幸は主に出演を担当しつつ、法廷画家やアニメ脚本家としても活動。小出圭祐も出演が中心ですが、単独での作・演出経験を持ち、アニメやテレビ番組への脚本・イラスト提供も行っています。3名とも武蔵野美術大学出身であり、この共通点が彼らの独特な感性を形成する基盤となっています。

テニスコートは武蔵野美術大学在学中に結成されました。大学入学以前からの知り合いである神谷と吉田に、大学で出会った小出が加わる形でユニットとしての活動が始まります。2002年に学内で上演した「2、3歩ほど歩いて突然吐きました。」を皮切りに単独ライブを定期的に開催。初期は神谷と小出が作・演出を担いましたが、後にテニスコート名義での共同制作体制へ移行しました。2004年からは学外の劇場に進出し、活動の場を広げます。この頃から、学友であった山口智子が公演にレギュラー参加し、「4人目のメンバー」と呼ばれる存在に。さらに、2011年以降はコント作家の今田健太郎が作劇に協力し、「5人目のメンバー」とも称されるようになります。彼らは「テアトロコント」への定期参加や、「いとうせいこうフェス」への出演、他分野のアーティストとの協業などを通じて、その独自の表現を多様な場所で展開してきました。2019年にはテレビドラマの脚本を担当するなど、映像分野でもその才能を発揮しています。

メンバーは自身をお笑いタレントや純粋な俳優とは一線を画す存在と捉えており、活動の基軸としては演劇に近いと語っています。美大出身者ならではの感覚や、特定のジャンルに収まらない「ガラパゴス」的な立ち位置は、同じく美大出身のラーメンズと比較されることもあります。作品の方向性について明確なすり合わせを行うわけではないものの、ナンセンスコメディという共通の基盤を持ち、コラムなどの文章執筆も共同で行っています。

テニスコートおよびメンバーは、以下のような多岐にわたる活動を行っています。

単独ライブ: 2002年の旗揚げ以降、「虎対虎ほぼ互角」「浮遊牛」「パリドライビングスクール」など、ナンセンスなタイトルを冠した作品を定期的に上演。近年はユーロライブを中心に活動。
テレビ: NHK Eテレ「みんなのうた」（映像ディレクター/神谷）、NHK Eテレ「シャキーン!」（構成・脚本・出演）、テレビ東京「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」（脚本・出演など）。
テレビドラマ出演: メンバーそれぞれが個別に、多数のドラマに出演。「いだてん」「青天を衝け」「俺の家の話」「天国と地獄」「最愛」「春になったら」「法廷のドラゴン」など。
舞台出演: ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出「世界は笑う」（神谷）など、外部舞台にも参加。
書籍: 神谷圭介は、『あたらしいみかんのむきかた』シリーズ、『はじめてのトリック野郎』など、イラストや文、デザインを手がけた書籍を多数出版。
その他: MV監督（神谷）、CM出演（神谷）、イベント、ラジオ、配信など。

武蔵野美術大学で培われた自由な発想と、メンバーそれぞれの多才な能力を掛け合わせ、「新古典派ナンセンスコメディ」という独自のジャンルを切り拓くテニスコート。演劇を核としながらも、分野を横断するその活動は、常に観客に新鮮な驚きと笑いを提供し続けています。

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