テネシー (装甲巡洋艦)

テネシー (USS Tennessee, ACR-10) について

テネシーは、アメリカ海軍に所属する装甲巡洋艦であり、テネシー級巡洋艦の一艦です。この艦艇の名前はアメリカ合衆国の州、テネシー州から取られています。テネシーという名を持つ艦船としては二隻目にあたります。

艦歴の概要

テネシーの起工は1903年6月20日で、フィラデルフィアのウィリアム・クランプ・アンド・サンズ社で建造が始まりました。進水は1904年12月3日で、州知事の娘によって命名され、その後1906年7月17日に正式に就役しました。初めの任務として、テネシーは1906年11月8日にルーズベルト大統領の視察に際し戦艦ルイジアナの護衛任務に就きました。

また、テネシーはアメリカ大陸入植300周年記念イベントにも参加。その後、1907年から1908年にかけての任務においては、欧州への航海やフランスのロワイヤン訪問など多岐にわたる活動を展開しました。帰国後は再び太平洋艦隊に加わり、カリフォルニア沿岸の偵察なども行いました。1910年5月にはアルゼンチンの独立百周年記念式典に参加し、国際的な活動もこなしました。

次の重要な任務は、1911年から1912年にかけての地中海での活動でした。第一次バルカン戦争でのアメリカ国民と権益の保護を目的として同地域に留まり、その後帰国しました。1914年には新兵収容艦としての役割を果たし、8月からはヨーロッパに向けて再び任務を開始します。

軍事任務の展開

テネシーは1915年前半において、アメリカ軍の遠征を支援し、海兵隊をハイチに輸送する任務を担いました。1916年には、サントドミンゴにおける平和維持のための偵察任務が行われます。しかし運命はここで大きく変わります。1916年8月29日、メンフィスに艦名が変更された後、艦は予期しない大波に襲われ、停泊中に陸に打ち上げられました。この事故により、約40名が失踪または死亡し、204名が重傷を負いました。

この惨事にもかかわらず、事故に対処した艦の乗組員には名誉勲章が授与され、その功績は高く評価されました。この出来事は、メンフィスが後の歴史においても語られる一つの悲劇的な事件となりました。

除籍とその後

メンフィスは1917年12月17日に除籍され、その後1922年1月17日にデンバーの会社にスクラップとして売却されました。こうしてテネシー、あるいはメンフィスという艦は、数々の歴史的任務を終え静かにその生涯を閉じました。テネシーの艦歴は、海軍の歴史の中で重要な一ページであり、さまざまな国際的な事象に関わった証でもあります。彼女はアメリカ海軍の装甲巡洋艦として多くの任務を果たし、その足跡は今もなお艦船史の中で語り継がれています。

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