テネシー洪水 (2010年5月)

2010年5月テネシー洪水

2010年5月1日から2日にかけて、アメリカ合衆国テネシー州中部を襲った記録的な大洪水は、周辺地域にも大きな爪痕を残しました。豪雨はテネシー州東部、ケンタッキー州中南部、ミシシッピ州に及び、数日間にわたって各地に影響を及ぼし続けました。

甚大な人的被害

この洪水により、テネシー州では19名もの尊い命が失われました。特に、州都ナッシュビルを含むデビッドソン郡では、自宅や車内、屋外で合わせて10名が犠牲となっています。その他、ミシシッピ州北部では洪水と竜巻の影響で6名、ケンタッキー州では4名の死亡が報告されています。

ミシシッピ州における郡別の死亡者数は以下の通りです。

アルコーン郡: 1名
ベントン郡: 2名
ラファイエット郡: 1名
リー郡: 1名（テューペロのアメリカ国道45号線でのハイドロプレーニング現象による）
* ユニオン郡: 1名（ミシシッピ州78号線でのハイドロプレーニング現象による）

ナッシュビルの主要施設も被災

カンバーランド川の氾濫は、ナッシュビルの象徴的な施設にも深刻な被害をもたらしました。グランド・オール・オープリー・ハウス、ゲイロード・オープリーランド・リゾート・アンド・コンベンション・センター、ブリヂストン・アリーナ（NHLチーム、ナッシュビル・プレデターズの本拠地）、LPフィールド（NFLチーム、テネシー・タイタンズの本拠地）などが浸水に見舞われました。グランド・オール・オープリーは、被害を免れたライマン公会堂と戦争記念館に場所を移して収録を継続しました。

シャーマーホーン・シンフォニー・センターの地下も浸水し、2台のスタインウェイ製グランドピアノや、250万ドルの価値があるとされるオルガンが損傷しました。ゲイロード・オープリーランド・ホテルでは、公共エリアが破壊され、一部は10フィート（約3メートル）も浸水しました。カントリー・ミュージック殿堂博物館では機械室が浸水したものの、展示品は無事だったと報告されています。LPフィールドでは、グラウンドや入場口が水没しました。

2010年2月にオープンしたばかりのピナクル・アット・シンフォニー・プレイスの地下駐車場は、12メートルもの高さまで浸水し、電気系統やエレベーターシステムに深刻な損害を与えました。また、高級住宅街ベル・ミードにあるセント・ジョージ米国聖公会教会も浸水被害を受けています。

ナッシュビル電力会社の変電所が浸水した影響で、市中心部では停電が発生しましたが、5月4日には送電が再開されました。停電の影響を受けた建物の中には、テネシー州で最も高いAT&Tビルも含まれていました。

フォークド・ディア川の氾濫

アメリカ国立気象局は、ダイアーズバーグとダイヤー郡の水位は5月7日まで下がらないものの、5月8日には8メートルまで下がると予測しました。フォークド・ディア川は5月2日に急激に水位を上げ、5月4日には過去最高レベルとなる約9メートルまで上昇しました。

この氾濫により、200の建物と600戸の住宅が浸水したと推定されています。

この洪水は、テネシー州とその周辺地域に長期にわたる影響を与え、復興には多大な時間と労力を要しました。

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