テリー・デサリオ

テリー・デサリオ（Teri DeSario）は、1951年11月27日にアメリカ合衆国フロリダ州マイアミで生まれた、イタリア系アメリカ人の歌手およびソングライターです。彼女の夫は作曲家のビル・パースとして知られています。日本においては、1984年にソニーのカセットテープCMソングとして制作され、シングルとして発売された楽曲「オーバーナイト・サクセス」が特に有名であり、その後、女性パフォーマンスグループである東京パフォーマンスドールによってカバーされるなど、長く記憶される曲となりました。

来歴

テリー・デサリオのキャリアは、1978年にマイアミのクラブで歌手活動をしていた頃、著名なグループであるビージーズのメンバー、バリー・ギブの目に留まったことから本格的に始まります。彼のプロデュースにより、同年にアルバム『夢みる乙女（Pleasure Train）』でデビューを飾りました。このアルバムに収録されている「Ain't Nothing Gonna Keep Me From You」は、バリー・ギブが作詞作曲を手掛けた楽曲です。

翌1979年には、高校時代の同級生であり、ファンク・ディスコバンドKC&ザ・サンシャイン・バンドの中心メンバーであったKCこと、ハリー・ウェイン・ケイシーと共にデュエット曲「Yes, I'm Ready」を発表します。この楽曲は大きな注目を集め、1980年3月にはアメリカの主要音楽チャートであるビルボードで最高2位を獲得し、テリー・デサリオにとってキャリア初期における最大のヒットとなりました。しかし、1980年にアルバム『溺愛（Caught）』をリリースした後、彼女が所属していたカサブランカ・レコードとの間にビジネス上の問題を抱え、結果として活動が制限される不遇の時期を過ごすことになります。

転機となったのは1984年です。日本市場向けに、数多くの日本人アーティストの音楽プロデュースを手掛けてきたジョーイ・カーボーンとリッチー・ジトーが作詞作曲を担当した楽曲「オーバーナイト・サクセス」が制作されました。この曲はソニーのカセットテープおよびビデオテープのコマーシャルソングに起用され、シングルとして発売されると、日本国内で約28万枚を売り上げるヒットを記録しました。特にオリコンの洋楽シングルチャートでは、1984年11月26日付から11週連続で1位を獲得するなど、その人気は絶大なものでした。この成功を受けて、彼女は1985年に開催された東京音楽祭にも出演し、日本のファンにその歌声を披露しました。その後、アルバム『ヴォイシーズ・イン・ザ・ウィンド』のリリースを境に、彼女の音楽活動の重点は、ゴスペル音楽の探求や、他のアーティストへの楽曲提供へと移っていきました。

長い沈黙を経て、2005年には限定盤のミニ・ベスト・アルバム『Teri DeSario - Gloria Jean's coffee sampler』がリリースされ、久々にその活動に光が当たりました。このアルバムには、過去のヒット曲「Yes, I'm Ready」や、新たに制作された楽曲などが収録されています。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『夢みる乙女』 - Pleasure Train (1978年、Casablanca)
『ムーンライト・マッドネス』 - Moonlight Madness (1979年、Casablanca)
『溺愛』 - Caught (1980年、Casablanca)
A Call to Us All (1984年、DaySpring)
『オーバーナイト・サクセス』 - Overnight Success (1984年、Epic) ※日本盤のみ。カルホーン＆ズィトーとの連名
『ヴォイシーズ・イン・ザ・ウィンド』 - Voices in the Wind (1985年、DaySpring)

コンピレーション・アルバム

『タイム・アフター・タイム - ザ・ベスト・オブ・テリー・デサリオ』 - Time After Time: The Best of Teri DeSario (1984年、Casablanca) ※日本盤のみ
Teri DeSario - Gloria Jean's coffee sampler (2005年) ※限定盤

関連項目

* 1985年の音楽

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