テレサ・デ・ポルトゥガル (フランドル伯妃)

テレサ・デ・ポルトゥガル（1151/7年 - 1218年5月6日）は、ポルトガル初代国王アフォンソ1世とマファルダ・デ・サボイアの娘として生まれました。彼女は生涯で二度の結婚をし、フランドル伯フィリップの妃、のちにブルゴーニュ公ウード3世の妃となりました。テレサは、姉マファルダの死後に同じ名前を名乗り、フランドル伯妃となってからはマティルド・ド・ポルテュガルと称しました。

ポルトガル王国の摂政として

テレサは、父アフォンソ1世が病に倒れた際（1169年 - 1184年）、弟サンシュ1世とともにポルトガル王国の摂政を務めました。彼女は国政を担い、建国間もないポルトガルの安定に貢献し、父アフォンソ1世から感謝されました。弟サンシュ1世は主に軍事を担当しました。当時、テレサが隣国であるアラゴンやカスティーリャの王子と結婚した場合、ポルトガルがこれらの国に併合される可能性があったため、彼女は結婚をしていませんでした。しかし、1174年に弟サンシュ1世が結婚し、後継者が生まれたことで、王朝の存続が保証されました。

フランドル伯フィリップとの結婚

1147年にフランドル人の十字軍がリスボンを征服して以来、ポルトガル王室はフランドル伯領に関心を持つようになりました。1183年8月、テレサはフランドル伯フィリップと結婚しました。この結婚式はランス大司教ギヨーム・ド・ブロワによって執り行われました。フィリップにとってこの結婚は二度目であり、彼はゼーラント、ヴァロワ、ヴェルマンドワ伯でもありました。また、アルトワ伯領は1180年にフランスに譲渡しています。

テレサはフランドルに莫大な持参金をもたらし、その金、織物、宝石の豪華さに多くの人々が驚いたと記録されています。フィリップはこの持参金を用いてフランスとの戦争を遂行しました（1186年まで）。また、フィリップはフランドル伯領の多くの部分をテレサの個人資産として与えました。テレサは自身の南フランドルの領地の統治と写本を読むことに専念し、ポルトガルの商人も彼女と共にフランドルを訪れて貿易関係を築きました。フィリップの政策も手伝い、フランドルの町々は大きく発展しました。しかし、フィリップとテレサの間には子供は生まれませんでした。

フィリップの死と再婚

1191年、フィリップは十字軍で死去し、フランドル伯家は断絶の危機に直面しました。フィリップの妹マルグリットとその夫であるエノー伯ボードゥアン5世がフランドル伯領の統治者となりましたが、テレサは夫の死後1年間、フランドル伯領の摂政を務めました。その後、1194年または1195年に、テレサは父方の親族にあたるブルゴーニュ公ウード3世と再婚しました。ウード3世にとってはこれが初婚でした。しかし、この結婚は近親婚を理由としてすぐに解消されましたが、実際には子供ができないことが理由であったと考えられています。その後、テレサは自身の南フランドルの領地に戻りました。

教皇庁への奉仕と晩年

テレサはその後、教皇インノケンティウス3世に奉仕し、これはテレサの政治的な利益にも繋がりました。テレサは、異母兄であるアフォンソのマルタ騎士団総長就任にあたり、ローマとの仲介役を務めました。また、テレサは第4回十字軍に参加する貴族の選出においても教皇を支援しました。1212年、弟サンシュ1世が亡くなった際には、コインブラの宮廷を訪れました。1218年、テレサは馬車に乗っていた際にフールネ近くの沼に転落し、溺死という悲劇的な最期を迎えました。

テレサは、ポルトガル王国の発展に貢献し、フランドル伯領の繁栄にも寄与しただけでなく、教皇庁との関係を築くなど、政治的にも重要な役割を果たした女性でした。

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