テレビあっとランダム

「テレビあッとランダム」は、1984年10月27日から1990年3月31日まで、テレビ東京系列局で毎週土曜日の21時00分から21時54分に生放送された情報番組です。テレビ東京と三桂の共同製作で、司会は関口宏が務めました。

この番組の大きな特徴は、現代社会を様々な切り口で探求した点にあります。例えば、東京で働くOLやサラリーマンの日常に迫る「現代の大人たちウォッチング」や、街の移り変わりを追う「流行や街角の今昔対比」といった企画を通じて、時代の変化や人々の素顔を映し出しました。生放送が基本でしたが、一部には録画回もありました。

「テレビあッとランダム」は、日本のテレビ史において、ある種の先駆けとなりました。それまで東京の主要キー局において、土曜日の21時台は主にドラマや映画が主流でした。その中にあって、本番組は1時間枠のバラエティ・情報番組として初めてこの時間帯に登場し、新たな流れを生み出したのです。テレビ東京で長年放送された時代劇『日産劇場・大江戸捜査網シリーズ』の後継番組であり、これ以降、テレビ東京の土曜21時台は「街」をテーマにした番組が放送されるという伝統につながっています（現在の『出没！アド街ック天国』など）。

番組には印象的なコーナーがいくつかありました。

オープニング：観客席が配された独特のスタジオセットからスタート。司会の関口宏氏がゲストを紹介し、観客席が左右に割れて入場するというユニークな演出がありました。メインスポンサーである日産自動車の提供クレジットは特別扱いされていました。

六本木ギャルインタビュー：当時の流行発信地であった六本木にいる女性たちに、話題のキーワードについてインタビューする企画。意表を突く回答が多く、それに対するナレーター、キートン山田氏の鋭いツッコミがお約束のパターンでした。BGMにはピーター氏の「夜と朝のあいだに」が使われました。

集団じゃんけん：スタジオの観客と関口宏氏が、番組の内容にちなんだ品物（時には高価な物も）を賭けてじゃんけんをする名物コーナーです。多数の参加者に対して一人がじゃんけんし、あいこは負けというルールは、この番組が広めた形式だと言われています。関口氏が初回に特定のパターン（チョキを2回連続など）を出す癖があり、観客との駆け引きが見られました。時には観客が一人も勝ち残らない珍事も発生しました。

らんだむ写真館：主に東京の街角の過去と現在を写真や映像で比較するコーナー。昔の白黒写真（都電が写っていることも多かった）と、現在の様子を映したビデオ映像を対比させました。地方の街が取り上げられることもあり、BGMは中島みゆき氏の「時代」のインストゥルメンタル版でした。

その他にも、特定の職業やテーマに焦点を当てる「一年生シリーズ」、テレビ東京が得意とする分野を活かしたサラリーマン向けの「グルメ特集」や、特定の通勤路線沿線を紹介する「○○線特集」、当時の社会問題に警鐘を鳴らす「現代これでいいのか」（後の『サンデーモーニング』にも影響を与えたと言われる）など、多岐にわたる特集コーナーがありました。

ナレーターはキートン山田氏と根岸雄一氏が担当。ゲストパネラーとしては、江本孟紀氏、村野武範氏、梓みちよ氏、アグネス・チャン氏、山藤章二氏、黒鉄ヒロシ氏、鳥越マリ氏などが準レギュラーとして出演しました。また、坂本あきら氏がリポーターとして多く登場しています。

ネット局は、製作局であるテレビ東京をはじめ、系列局では生放送、系列外の放送局では遅れネットで放送されました。メインスポンサーは日産自動車グループで、番組のエンディングでは日産のCMソング「世界の恋人」が流れるのが恒例でした。日産は初期の一社提供から、後に複数社提供の筆頭として番組を支え続け、このスポンサー体制は後継の番組にも引き継がれています。

「テレビあッとランダム」は、土曜夜の新たな番組ジャンルを切り開き、個性的な企画と親しみやすい司会で多くの視聴者に支持された、記憶に残る情報バラエティ番組でした。

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