テローム説

テローム説

テローム説は、維管束植物の形態進化を把握するための理論であり、すべての基本構造が単純な枝から発展したと考えられています。この説は、根・茎・葉などの主要な部分がどのように形成されたかを解明しようとするものです。特に、これによりシダ植物や種子植物といった多様性を持つ生物群に対する理解が深まります。

概要

維管束植物は基本的に根、茎、葉からなり、これらの構造には共通点と相違点があります。これらの構造はどのようにして形成され、多様な形状になったのかは古くからの研究課題であり、テローム説は今なお広く受け入れられている理論のひとつです。

歴史的背景

テローム説が提唱される以前には、植物の成り立ちについて様々な考え方が存在しました。例えば、ゴーディショウは1841年にフィトン説を発表し、植物の芽全体をフィトンと呼び、これが集合して植物体ができると主張しました。さらに、1917年から1920年にかけて発見されたデボン紀の植物化石は、初期の陸上植物の特徴を明らかにすることで、植物の進化に新たな知見を加えました。これらの知見から、現代のテローム説が形成されていったのです。

テロームの定義

テロームは、チンメルマンによって名付けられ、二又に分かれた枝先を指します。この構造の中心には維管束があり、成長点や胞子嚢が存在します。彼によれば、リニアやマツバランなどの植物形態が陸上植物の原始的形状であるとし、そこから他の形態が進化したとされています。

進化の過程

テローム説によると、植物の構造は大きく五つの変型過程を経て進化します。

1. 主軸形成: 同じ高さの二つの枝が分岐し、主軸と側枝に分かれる過程で、成長が止まることもあります。
2. 扁平化: 分枝が一つの平面上で広がり一体化する過程です。
3. 癒合: 隣り合う枝が互いに接触し、組織が発達して癒合する現象で、これはしばしば水掻きに例えられます。
4. 退化縮小: 様々な構造を持つ後に枝数が減っていく過程です。
5. 湾曲: 枝の先端が反転する過程で、特に胞子嚢がついている場合には重要です。

また、茎の内部構造や維管束の複雑化にも注意が必要です。

対象となる植物の例

根や茎がテロームから直接派生することは直感的に理解できます。例えば、イチョウの葉脈は二又に分かれた構造であり、扁平化したテロームから進化したと考えると自然です。化石を通して見ると、この進化の過程がさらに明確になり、どのように葉の形が進化してきたのかの研究が進んでいます。

シダ植物でも、胞子嚢が葉の裏面にある事例が多く、これもテローム説による解釈が可能です。さらに、トクサの胞子葉の配置も興味深く、どのように進化が進んだのか議論が続いています。

テローム説の修正と現代的見解

チンメルマンは小葉類についてもテローム説を適用し、この幅広さが現在の研究で確認されています。しかし、イギリスの学者であるバワーは、小葉の形状が茎の突起から由来すると主張し、対立する見解を提示しました。

結論

テローム説は、植物の進化を理解するための強力な枠組みであり、根本的な形状がどのように進化してきたのかを示す貴重な理論です。その進化のメカニズムを解明するための研究は、現在も続いており、さらなる発展が期待されています。

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