マツバラン

マツバラン（松葉蘭）とは

マツバラン（学名: Psilotum nudum）は、マツバラン科に属するシダ植物で、日本国内では唯一のマツバラン科の種です。その特異な形態から、古くから観賞用として栽培されてきました。

形態の特徴

マツバランの最大の特徴は、葉も根も持たず、茎だけで成長することです。地上部には茎しかなく、よく成長したものでは約30cmほどになります。茎は上部で二又に分枝し、細い枝には稜があり、小さな突起が見られます。枝はやや曲がりながら上向きに伸び、株によっては先端が同じ方向になびくように見えることもあります。この独特な姿から、別名ホウキランとも呼ばれます。

先端の分岐した枝の側面には、粒状の胞子のう（実際には胞子のう群）が形成されます。胞子のうは3つに分かれており、成熟すると黄色く変化します。

地下部も特徴的で、地下[[茎]]のみで根はありません。地下[[茎]]はあちこちに枝分かれし、褐色の仮根が毛のように生えています。この地下[[茎]]には菌類が共生しており、菌根のような状態を形成しています。

生態

マツバランの胞子が発芽して生じる配偶体は、葉緑素を持たず、地下[[茎]]に似た姿をしています。光合成を行わず、グロムス門の菌類と共生して栄養を得る腐生植物として生活します。つまり、他の植物の菌根共生系に寄生して、地下で成長します。配偶体には造卵器と造精器が形成され、受精によって胞子体が誕生します。

分布と生育環境

日本では本州中部以南に分布し、海外では世界の熱帯地域に広く分布しています。樹上や岩上に着生する植物で、樹木の腐植や岩の割れ目に根を張り、枝を伸ばします。まれに、地上に生えることもあります。

利用と保護

日本では、その珍しい姿から古くから栽培されてきました。特に、変わりものと呼ばれる斑入りや枝の形状が異なるものが、江戸時代から古典園芸植物として珍重されてきました。しかし、自生地での採取が横行し、岩を割ってまで採取する人がいるため、各地で大株が減少し、絶滅が危惧されています。

環境省レッドリストでは、準絶滅危惧（NT）に指定されています。一方で、繁殖力そのものは低くないため、人工的な環境にも適応する性質を持ち、公園や植物園、家庭の鉢植えなどで、自生している姿が見られることもあります。

まとめ

マツバランは、その特異な形態と生態から、生物学的に非常に興味深い植物です。古くから観賞用として親しまれてきましたが、自生地での乱獲により、その存続が危ぶまれています。自然環境の保護とともに、マツバランの適切な保全と栽培が求められます。

参考資料

http://tropicalplant.air-nifty.com/top/2006/07/post_4ac6.html

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