テングノハナ

テングノハナ (天狗の鼻)

テングノハナ（学名: Illigera luzonensis）は、ハスノハギリ科に属する常緑性のつる性木本植物です。この種は意外にも美しい花を咲かせることで知られています。その花は淡い赤紫色で、特に午後には閉じてしまうため、観賞するには早朝が最適です。この植物は主に石垣島を含む南西諸島、台湾、フィリピンに分布しており、特に石垣島では珍しく自生が確認されています。

特徴

テングノハナは常緑性の木本性つる植物で、成長すると約10メートルまで達することがあります。その茎は特徴的に角張り、低い部分は地面を這い、上部では他の物に葉柄を利用して絡まります。このため、まるで天を目指すような成長を遂げることができます。葉は互生しており、三出複葉の形状をし、葉柄の長さはおよそ4～10センチメートル、また小葉は卵形から卵円形で、サイズは3.5–14×3–10センチメートルです。その葉には短い毛が生えており、鮮やかな緑色をしています。

テングノハナの花芽は、葉腋から長い散房花序として現れます。花序軸には短毛が密生し、花は午前中に咲いて午後には閉じます。花被片は狭い披針形で、淡赤紫色をしており、2輪の花が5枚ずつの花被を持ちます。雄しべは5個あり、それぞれの基部には小さな腺体が存在します。雌しべは1個で、細長い花柱の先端は扇状に広がっています。果実は堅果の形で、左右には幅の広い翼が付き、これが「天狗の鼻」という名前の由来になっています。

分布と生態

テングノハナは石垣島、台湾南部、フィリピンなどに自生しています。台湾やフィリピンでは海岸近くから標高1300メートルの範囲で見ることができますが、石垣島では特に海岸林に生育する傾向があります。特に石垣島における自生個体は極めて少なく、2015年の調査によるとわずか2個体しか確認されていないとされています。これにより、環境省から絶滅危惧IA類（CR）に指定されています。

保全状況と分類

日本においては石垣島が唯一の生息地とされ、その個体群は台湾やフィリピンのものとは異なる系統群であることが示唆されています。特に開花期が春と秋であることや、葉の形状において台湾やフィリピンとは異なる特徴が見られます。これにより、石垣島のテングノハナは独自の進化を遂げた貴重な植物であることがわかります。

このように、テングノハナはその美しい花と珍しい生態から、多くの人々に愛されていますが、限られた生息地と個体数故に保護が必要とされています。これからも、その存在を守るための努力が求められています。

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