テーロニケー

テーロニケー（Θηρονίκης, Thēronicē）

テーロニケーは、古代ギリシアの神話世界にその名を刻む女性です。彼女の名前は長母音を省略してテロニケと表記されることもあります。

出自

テーロニケーの父は、アカイア地方に位置する都市オーレノスを統治していた王、デクサメノスです。彼女は王家の血筋を引く者として生まれました。

姉妹も多く、特にテーライポネーとは双子として生まれています。他にも、ムネーシマケー、ヒッポリュテーといった姉妹がいました。さらに一説には、英雄ヘーラクレースの妻としても知られるデーイアネイラも、テーロニケーの姉妹の一人であったと語られています。

家族

テーロニケーは、エーリス地方出身の著名な英雄であるクテアトスと結ばれました。クテアトスは、もう一人の英雄であるエウリュトスと共に「モリオネ」と呼ばれる双子の英雄として知られています。彼らは強大な力を持つ存在として神話に登場します。

テーロニケーとクテアトスの間には、息子アムピマコスが生まれました。アムピマコスは、祖父デクサメノスや父クテアトスに劣らず、神話の中で重要な役割を果たします。

息子アムピマコスとトロイア戦争

息子のアムピマコスは、成長して英雄となり、特に有名な伝説であるトロイア戦争に参戦しました。

彼はエーリス地方からトロイアへ向かった4人の武将の一人として数えられています。トロイア戦争におけるエーリス勢の指揮官としては、アムピマコスの他に、タルピオス、ディオーレース、そしてクテアトスの兄弟であるエウリュトスの息子であるデキロスがいました。アムピマコスはこれらの指揮官の一角を担い、エーリスの兵士を率いてトロイア軍と戦いました。

このように、テーロニケーは王女として生まれ、双子の英雄モリオネの一員と結婚し、さらにトロイア戦争に参加した息子をもうけるなど、神話上の重要な出来事や人物と深く関わりのある存在です。彼女自身の逸話は多く伝わっていませんが、その血筋と家族構成を通じて、ギリシア神話の広がりを知る上で重要な一端を担っています。

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