デアリング級駆逐艦

デアリング級駆逐艦の概要

デアリング級駆逐艦は、イギリス海軍が第二次世界大戦中に計画・建造した駆逐艦の艦級です。当初は1944年型バトル級とも呼ばれ、先行する後期バトル級を基に設計されました。しかし、より重武装化が図られ、駆逐艦の域を超えた小型巡洋艦として扱われることもありました。ネームシップの建造費は228万ポンドに達しました。

来歴

第二次世界大戦中、イギリス海軍は多数の戦時急造駆逐艦を建造しました。これらの艦は量産性を重視し、基本設計をあまり変更せずに建造されていました。しかし戦局の安定に伴い、より強力な艦隊駆逐艦としてバトル級が計画されました。バトル級は4.5インチ連装砲2基を搭載していましたが、前方火力を重視した配置のため、後方火力が弱いという問題がありました。そこで、新型砲塔の開発を受けて、艦尾側にもう1基の連装砲を追加する設計が検討され、デアリング級が誕生しました。

設計

デアリング級は、基本的にはバトル級の設計を基に、船体サイズを拡大した長船首楼型を採用しました。重武装化のため、全長と全幅が増加し、運動性の低下が懸念されました。しかし、重量削減のために甲板高さの減高、アルミニウム合金の導入、溶接工法の拡大などが図られました。また、レーダーピケット艦としての運用を想定し、艦橋構造物が拡大され、NBC防護構造が採用されました。機関部では、ボイラーとタービンのシフト配置化が行われ、煙突は2本式となりました。

機関

当時のイギリス製機関は、アメリカ製に比べて出力が低いという問題がありました。デアリング級では、この是正が試みられ、出力を増強しながらも機関部重量を削減することに成功しました。主機にはパーソンズ式またはイングリッシュ・エレクトリック式のオール・ギアード・タービンが搭載され、初めて2段減速式が採用されました。推進器の回転数も低減され、推進効率と水中放射雑音の低減が図られました。ボイラーの蒸気性状も高温・高圧化され、当時のイギリス駆逐艦の中で最も高い蒸気性状を達成しました。電源はタービン主発電機とディーゼル停泊発電機が搭載され、一部艦では新しい三相交流方式が採用されました。

装備

艦砲として、45口径11.4cm砲を連装砲架に搭載しました。この砲は、甲板下への埋め込み部分を排したモデルで、艦尾にも装備されました。方位盤は、前期バトル級のものが改良されて使用されました。対空兵器には、56口径40mm連装機銃が搭載され、機銃射撃指揮装置も改良されました。対潜兵器は、爆雷とスキッドが搭載され、対潜迫撃砲は搭載されませんでした。対艦兵器としては、21インチ5連装魚雷発射管が2基搭載されましたが、後に撤去されました。

オーストラリアでの近代化改修

1970年代前半、オーストラリア海軍は保有するデアリング級2隻に対して大規模な近代化改修を行いました。この改修では、艦橋が閉鎖式に変更され、早期警戒レーダーや射撃管制レーダーが換装されました。また、ラティスマストが撤去され、AICや通信装置、砲塔などが改良されました。さらに、アイカラ対潜ミサイルやシーキャットPDMSの追加装備も計画されましたが、予算の都合で見送られました。また、練習艦として改修された艦もありました。

配備

デアリング級は、第二次世界大戦中に17隻が発注されましたが、終戦後に8隻がキャンセルされました。残る8隻は、戦後に建造が再開され、1950年代に就役しました。オーストラリアでも3隻が建造され、ヴォイジャー級として運用されました。また、事故により失われたオーストラリア海軍艦の代替として、イギリス海軍艦が貸与、後に売却されました。

同型艦

本級には、イギリス海軍のほか、オーストラリア海軍向けの艦も含まれます。また、発注されたもののキャンセルされた艦も多数存在しました。

ギャラリー

（画像は割愛）

脚注

（脚注は割愛）

参考文献

* Sandy McClearn (2003年). “DARING class destroyer” (英語). 2013年6月2日閲覧。

関連項目

（関連項目は割愛）

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