ディアボーン (ミシガン州)

ディアボーン市：自動車産業と多文化が交差するミシガン州の都市

ミシガン州南東部、ウェイン郡に位置するディアボーン市は、自動車産業で知られるデトロイトの西に隣接する人口約11万人の都市です。この地は、自動車王ヘンリー・フォードの生誕地であり、フォード・モーター社の発祥の地として、アメリカの歴史に深く関わっています。

歴史：フォードとともに発展した街

1786年に最初のヨーロッパ人入植地が建設され、1836年にはディアボーン村が設立されました。街の名は、独立戦争の英雄で陸軍長官を務めたヘンリー・ディアボーン将軍に由来します。1929年には、フォードソンと合併し、現在の市域が形成されました。

ヘンリー・フォードは、広大な農地であったこの地を購入し、自身の邸宅であるフェア・レーンやフォード社の本社を建設しました。1925年には、当時としては先進的なフォード空港が建設され、シカゴとの航空路線が開設されました。この空港は、デトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティ空港の開港まで利用され、その後はフォード社の試験場となりました。

地理：ルージュ川とフォード工場

ディアボーンはデトロイトの西約10キロメートルに位置し、面積は約63平方キロメートルです。ルージュ川が流れ、フォードの邸宅敷地内には人工の滝と水力発電施設が存在しました。リバー・ルージュ工場付近では、船舶の航行を容易にするため、ルージュ川は運河のように拡張されています。

交通：主要空港と高速道路網

デトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティ空港は、ディアボーンを含むデトロイト都市圏の重要な玄関口です。国際線も多数発着する、アメリカ有数の大空港です。

ディアボーンは、州間高速道路I-94やミシガン州道39号線など、デトロイト都市圏を網羅する高速道路網に接続しています。アムトラックのディアボーン駅には、シカゴとポンティアックを結ぶウォルバリン号が停車し、ミシガン州内の主要都市へのアクセスも容易です。

教育：ミシガン大学ディアボーン校

ミシガン大学ディアボーン校は、約8,000人の学生を抱える重要な教育機関です。ディアボーンのK-12課程は、ディアボーン公立学区によって運営され、34校の公立学校が教育を担っています。

人口動態：多様な文化の交差

ディアボーンは、歴史的にアイルランド系、ドイツ系、ポーランド系住民が多く住んでいましたが、現代ではアラブ系アメリカ人の大きなコミュニティが形成されています。その規模は全米でもニューヨークに次ぐ規模で、アラブ系住民は約3万人を数え、市の人口の3割以上を占めます。

アラブ系住民の多くは、自動車工場の労働者として20世紀中盤から移住してきたレバノン系のキリスト教徒とその子孫、その後イラク、イエメン、パレスチナなどからのイスラム教徒などです。北米最大のモスクであるイスラミック・センター・オブ・アメリカもディアボーンに位置し、2005年には、世界初となる国立アラブ・アメリカン博物館が開館しました。

統計データ：2000年の国勢調査より

2000年の国勢調査によると、ディアボーン市の人口は約9万8000人、人口密度は1549.7人/平方キロメートルでした。人種構成は白人が約87%を占め、アフリカ系アメリカ人は約1.3%、アジア系は約1.5%、ヒスパニック系は約3%でした。世帯収入の中央値は約4万4560米ドル、一人当たり収入は約2万1488米ドルでした。貧困率は約16.1%でした。

姉妹都市

ディアボーンはレバノンのカナと姉妹都市提携を結んでいます。

ディアボーンは、自動車産業の発展と多様な文化の融合が織りなす、魅力的な都市です。

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