ヘンリー・ディアボーン

ヘンリー・ディアボーンの生涯と功績

ヘンリー・ディアボーン（1751年2月23日 - 1829年6月6日）は、アメリカ合衆国の医師、政治家、そして軍人として知られています。独立戦争と米英戦争に参加し、1801年から1809年にかけて第5代アメリカ合衆国陸軍長官を務めました。彼の人生は、アメリカの初期の歴史における重要な出来事と密接に関連しています。

生い立ちと家族

ディアボーンはニューハンプシャー植民地のノースハンプトンに生まれました。彼は12人兄弟の末っ子で、幼少期をエッピングで過ごしました。公立学校で基礎教育を受けた後、医学を学び、1772年にノッティンガムで開業医としてのキャリアを開始しました。1771年、メアリー・バートレットと結婚し、二人の娘をもうけましたが、妻は1778年に亡くなってしまいました。彼はその後、ドーカス・オズグッドと再婚し、さらに3人の子供をもうけました。晩年にはサラ・ボードンと結婚しましたが、子供は生まれませんでした。

アメリカ独立戦争への参加

アメリカ独立戦争が勃発すると、ディアボーンは兵役に就き、大尉としてニューハンプシャー第1連隊に加わりました。バンカーヒルの戦いでは60人のボストン市民兵を指揮し、その後、ベネディクト・アーノルドの指揮下でカナダ侵攻作戦に参加しました。1775年12月31日のケベックの戦いで捕虜になった後、1776年には仮釈放され再び軍に復帰。1777年には少佐に昇進し、さらに数々の戦闘に参加しました。特に、サラトガの戦いでは重要な役割を果たしました。

ディアボーンは、バレーフォージでの厳しい冬を乗り越え、1778年のモンマスの戦いや1779年のサリバン遠征にも参加し、イロコイ族との戦闘に関与しました。1781年には大佐に昇進し、ワシントン将軍の補佐としてヨークタウンの戦いに立ち会い、イギリス軍の降伏を目の当たりにしました。

陸軍長官としての功績

戦後、ディアボーンは陸軍から退き、マサチューセッツ州に移住しましたが、1793年には連邦下院議員に選出されました。1801年、トーマス・ジェファーソンが大統領に就任すると、ディアボーンは陸軍長官に任命され、インディアンをミシシッピ川以西に移住させる政策を推進しました。彼は1809年までその職に留まりました。

米英戦争への関与

1809年、ディアボーンは徴税官としてボストンに任命され、その後1812年1月に合衆国陸軍に復帰しました。上級少将として北東部の指揮を任された彼は、米英戦争が開戦すると、モントリオールやデトロイトの防衛計画を策定しました。しかし、デトロイト包囲戦では合衆国陸軍の指揮官が敗北を喫する結果となり、責任を問われることになりました。最終的に1815年に陸軍を退役しました。

晩年

退役後もディアボーンは政治活動を続けようとしましたが、要請した陸軍長官への再就任は叶いませんでした。代わりに、彼は駐ポルトガル公使に任命され、1824年までその職を務めました。最晩年にはマサチューセッツ州で静かな生活を送り、1829年に亡くなりました。彼の遺体はボストン近郊のフォレストヒルズ墓地に埋葬されています。ディアボーンの生涯は、アメリカの独立と発展に大きく寄与した重要な人物として評価されています。

もう一度検索