ディジタル・イクイップメント・コーポレーション

ディジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC)

ディジタル・イクイップメント・コーポレーション（DEC）は、1957年にケン・オルセンによりマサチューセッツ州メイナードで設立されたアメリカのコンピュータ企業です。略称は「DEC」で、欧米では「Digital」とも呼ばれます。成立当初から、DECは小型コンピュータ市場に注力し、特にPDPシリーズとVAXシリーズによって業界に大きな影響を与えました。これらの製品は1970年代と1980年代に、多くの科学技術関連の分野で利用され、DECは瞬く間に市場シェアを拡大しました。

企業の成長と主な製品

最初の製品、PDP-8は世界初の成功したミニコンピュータとされ、1960年代には急速に普及しました。続いて、PDP-11が発売され、今までの小型機を凌駕する性能を持っていました。これにより、DECはコンピュータ業界における確固たる地位を築くことができました。その後、VAXシリーズが登場し、32ビットミニコンピュータの先駆けとして広く認知されました。

1980年代中頃には、DECは世界第2位のコンピュータ企業となり、マサチューセッツ州では州政府に次ぐ雇用者となっていました。しかし、パーソナルコンピュータの台頭とともに、市場の競争が厳しくなり、DECは苦境に立たされることになります。これに対抗するため、64ビットRISCプロセッサアーキテクチャ「DEC Alpha」が開発されましたが、DECの業績を回復させるには至りませんでした。

買収とその影響

1998年、DECはコンパックに買収され、さらには2001年にヒューレット・パッカード（HP）に統合されることになります。これによって、DEC製品はHPのブランド名で販売されることになりました。日本法人も同様に、さまざまな挑戦と変革を経験しつつ、DECの製品を広く普及させる役割を果たしていました。

日本法人と成長の軌跡

日本では、DEC製品の初期の販売は理経を通じて行われ、1964年には初めてPDP-5が東京大学原子核研究所に納入されました。DECの日本支社は1968年に設立され、パソコン分野への参入は1983年に行われましたが、商業的には成功しませんでした。その後も、日本市場におけるDECの活動は続き、1998年にはコンパックによる買収がありました。

終焉とLegacy

1992年以降、経済的な厳しさからDECは人員整理を余儀なくされており、企業の体質改善に向けた取り組みが行われました。最終的には1998年にコンパックに買収され、DECの製品群は市場から姿を消していきましたが、DECの技術革新とその影響は現在も残り、多くの技術者に影響を与え続けています。特に、DECはUNIXを初めて実装した企業の一つであり、オペレーティングシステムの発展やネットワーク技術の確立にも寄与しました。

DECの歴史は、コンピュータ業界の発展に大きな影響を与えた重要な章として今でも語り継がれています。

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