ディジャブ (コンピュータゲーム)

ディジャブ：記憶喪失の探偵と1941年のシカゴ

1985年、アメリカのICOM Simulations社によって開発された『ディジャブ』（原題：Deja Vu: A Nightmare Comes True）は、PC向けポイント・アンド・クリック型アドベンチャーゲームです。同社が開発したMacVentureシステムを採用した作品群の第一弾として、高い評価を受けました。

ゲームの概要と歴史

プレイヤーは記憶喪失の主人公となり、1941年12月8日、シカゴで起きた事件の謎を解き明かしていきます。アメリカを舞台とした緻密な世界観と、当時の社会情勢を反映したリアルな描写が特徴です。

北米でMacintosh版が発売された後、Amiga、Atari ST、コモドール64、Apple IIなど様々なプラットフォームに移植され、世界的に人気を博しました。日本でも、コマンド選択式のアドベンチャーゲームとしてファミコン、PC-98シリーズに移植され、高い人気を誇りました。ファミコン版はゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでシルバー殿堂入りを果たすなど、高い評価を受けています。さらに、ゲームボーイカラー版も発売され、幅広い層にプレイされました。

興味深いことに、続編となる『ディジャブII』は、当初ファミコン版の発売が予定されていましたが、中止となりました。その後、1999年にゲームボーイカラーで『ディジャブ』との合同作品としてリリースされました。ファミコン版のパッケージは、通常の箱ではなく、ブック型のケースを使用していたことも特徴の一つです。

ゲーム内容：事件解決への道

システム

基本的な操作は「移動」「調べる」「開く」などのコマンド選択式です。対象となるアイテムは画面に表示されたイラストから選択します。『シャドウゲイト』や『悪魔の招待状』などの他のMacVentureシリーズ作品にも見られる「セルフ」コマンドも実装されており、例えばピストルを自分に向けて使用するとゲームオーバーとなります。

舞台となるのは、モンスターの蔓延る恐ろしい場所ではなく、普通の街です。そのため、無闇に人を攻撃すれば逮捕されたり、タクシーの利用や買い物にはお金が必要になります。銃弾にも限りがあり、現実的な制約の中でゲームを進めていく必要があります。時には、ゲームクリアのために犯罪行為を犯す必要もあるでしょう。

他のMacVentureシリーズ作品とは異なり、単にラスボスを倒すだけではクリアになりません。失われた記憶を取り戻し、事件の謎を解き明かし、犯人を告発するための証拠を集めることが目的です。証拠が不十分であったり、不利な証拠品を所持しているとゲームオーバーとなります。

ゲームオーバーになっても、直前の状態から再開できるシステムが導入されているため、何度でも挑戦できます。最終的には、不利な証拠を処分し、証拠となるアイテムを持って警察署へ向かうことでクリアとなります。また、ゲームとは関係ありませんが、入手できる新聞には真珠湾攻撃の記事が掲載されています。

ストーリーと舞台

主人公であるエース・ハーディングは、見知らぬトイレで目を覚まします。激しい頭痛に襲われ、自分の身分や、なぜそこにいるのか、すべての記憶を失っています。

ゲームの舞台はシカゴです。シャーマン地区には主人公の探偵事務所や医者のオフィスがあり、ウエストエンドは高級マンション街、ペオリア通りには事件の中心となるシーゲルのオフィスビルなどが存在します。他にもケジー通り、アーバンロードなど、様々な場所が舞台となります。

登場人物

主人公のエース・ハーディングをはじめ、マネージャーのジョー・シーゲル、資産家のジョン・スタンウッドとその妻、医者のドクター・ブロディなど、個性豊かな登場人物が登場します。さらに、強盗や筋肉質の男、ワニなどの敵キャラクターも登場し、ゲームを盛り上げます。

『ディジャブII』にも登場するキャラクターとして、マフィアボスのアンソニー・マロン、彼の部下であるストージー・マーチン、ホテルの用心棒、車掌、行商人などがいます。また、警官のマクマーフィーやカールストン警部など、警察関係者も登場します。

多彩な移植版と開発スタッフ

『ディジャブ』は、様々な機種に移植されました。それぞれのバージョンで、グラフィックやサウンドなどが異なるだけでなく、ゲーム内容にも違いがある場合があります。開発スタッフには、トッド・スクワイア、クレイグ・エリクソン、カート・ネルソンなど、多くの才能ある開発者が参加しています。

まとめ

『ディジャブ』は、記憶喪失の主人公が事件解決に挑む、奥深いストーリーと、緻密な世界観、そして独特のゲームシステムが魅力的な作品です。様々な機種への移植や、高い評価からも、その人気と完成度の高さが伺えます。多くのプレイヤーを魅了した『ディジャブ』は、今もなお、多くのアドベンチャーゲームファンに愛され続けています。

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