ディス・ガイ

ディス・ガイ（This Guy's in Love with You）

1968年、アメリカの音楽界に大きな影響を与えた楽曲『ディス・ガイ』は、ハーブ・アルパートによって発表されました。この曲は、バート・バカラックの作曲、ハル・デヴィッドの作詞によって作られたもので、後にディオンヌ・ワーウィックがリリースした『ディス・ガール』も有名です。

曲の誕生

ハーブ・アルパートは、1962年にドット・レコードでDore Alpert名義で音楽活動を行った経験があります。しかし、彼はTV番組「Beat of the Brass」のために新たな作品が必要でした。そこで、彼はバカラックに曲の提供を依頼しました。すると、バカラックから送られたのは「This girl's in love with you」という曲でした。アルパートはこの曲を、ハル・デヴィッドに性別を変えてもらうよう依頼し、番組で披露しました。

この披露が大成功を収めたことから、アルパートは急遽シングルとしてリリースすることに決定します。この曲は、発売からわずか4週間で全米No.1に輝き、さらにアルバム『The Beat of the Brass』も全米で2週間No.1を維持しました。アルパートのキャリアにおいて、これは彼の重要な成功の一つとなりました。

チャートの成功

『ディス・ガイ』のヒットは驚異的であり、イージー・リスニング・チャートなどでも数多くのカバーがチャートインしました。例えば、1968年にはイーディ・ゴーメのカバーが22位、トニー・モットーラのバージョンも同様に22位にランクインしました。さらに、1969年にはディオンヌ・ワーウィックが『This girl's in love with you』と改題してリリースし、なんと全米で7位に達しました。このように、バカラックにとっても作曲家としての最初のナンバーワン・ヒットをもたらした重要な曲となったのです。

カバー曲の数々

『ディス・ガイ』は数多くのアーティストによってカバーされてきました。1968年にはペトゥラ・クラーク、レイ・コニフ、ジョニー・マティス、ダスティ・スプリングフィールド、レターメンが相次いでこの曲を取り上げました。また、フォー・トップスやバート・バカラック自身のバージョンも1969年にリリースされ、次々とヒットを生み出しました。1970年代に加入したアレサ・フランクリンや、布施明、中本マリ、鈴木祥子らもこの曲を取り上げ、自身のスタイルでアレンジしました。

この曲の魅力は、世代を超えて愛され続けていることにあります。さまざまなアプローチを受け、異なる解釈をされながら、その普遍的なテーマとメロディーは多くの人々に共鳴を呼び起こしています。音楽史においても重要な一曲であり、今後も多くのアーティストによってカバーされることでしょう。

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