ディック・ハウザー

リチャード・ダルトン・ハウザー（Richard Dalton Howser, 1936年5月14日 - 1987年6月17日）は、アメリカ合衆国出身の元プロ野球選手、監督です。選手時代は内野手（主に遊撃手）として活躍し、引退後は監督としてカンザスシティ・ロイヤルズを率いて1985年にワールドシリーズ優勝を成し遂げました。

選手としてのキャリア

フロリダ州立大学時代には、遊撃手として2度全米大学選抜に選出されるなど、アマチュア時代からその才能を発揮していました。1961年にカンザスシティ・アスレチックス（後にオークランド・アスレチックスに移転）に入団し、1年目から158試合に出場して打率.280、37盗塁、108得点を記録。新人王投票では次点となり、オールスターにも出場するなど、輝かしいデビューを飾りました。

しかし、その後はレギュラーとして定着することが難しく、クリーブランド・インディアンスに移籍した1964年に162試合に出場し、打率.256、39盗塁、101得点を記録したのが、唯一フルシーズン出場した年となりました。1967年にはニューヨーク・ヤンキースに移籍し、1968年シーズンをもって現役を引退しました。

指導者としてのキャリア

引退後、ハウザーはすぐに指導者としてのキャリアをスタートさせます。1969年にはヤンキースのコーチに就任し、1978年までの間に2度のワールドシリーズ制覇に貢献しました。1978年には、ビリー・マーチン監督の解任後、1試合だけ代理監督を務めています。1979年には母校のフロリダ州立大学のヘッドコーチに就任しました。

1980年、ハウザーはヤンキースの監督に就任し、103勝を挙げて地区優勝を果たしますが、ア・リーグチャンピオンシップシリーズでカンザスシティ・ロイヤルズに敗れました。ヤンキースのオーナーであるジョージ・スタインブレナーの干渉を拒否した数少ない監督の一人としても知られています。

特に、リーグチャンピオンシップシリーズ第2戦での三塁ベースコーチの判断ミスを巡り、スタインブレナーがコーチの解任を要求した際、ハウザーがこれを拒否したことは有名です。この件が原因で、シリーズ敗退後、ハウザーは解任されることになります。

1981年、ハウザーはヤンキースのスカウトを務めた後、カンザスシティ・ロイヤルズの監督に就任しました。この年はストライキの影響でシーズンが中断されましたが、後期優勝を果たすなど、チームを立て直しました。1984年には地区優勝を果たしましたが、リーグチャンピオンシップシリーズで敗退。

1985年、ハウザー率いるロイヤルズは、91勝71敗で地区優勝を果たし、リーグチャンピオンシップシリーズでは、トロント・ブルージェイズに1勝3敗と追い込まれるも、そこから3連勝で勝ち上がり、ワールドシリーズに進出しました。セントルイス・カージナルスとのワールドシリーズでも1勝3敗と追い込まれますが、そこから3連勝し、球団初のワールドチャンピオンに導きました。

病魔との闘いと死

1986年には、オールスターゲームまで40勝48敗と苦戦しましたが、自身が指揮を執ったオールスターゲームではア・リーグを勝利に導きました。しかし、試合前から体調不良を訴え、翌日には脳腫瘍と診断され入院。手術後は三塁コーチが残りの試合を指揮することになりました。1987年のスプリングトレーニングには復帰しましたが、2月下旬に癌の転移が発覚し監督を辞任、その後、6月17日にカンザスシティで亡くなりました。51歳という若さでした。

彼の死後、ロイヤルズは半旗を掲げ、選手・関係者一同が彼に黙祷を捧げました。そして、同年7月3日には、ハウザーの背番号『10』がロイヤルズ初の永久欠番に指定されました。

また、大学野球の最優秀選手に贈られる賞が「ディック・ハウザー・トロフィー」と名付けられ、母校であるフロリダ州立大学も球場名にハウザーの名前を冠し、ブロンズ像を設置して、彼の功績を称えています。

詳細情報

年度別打撃成績や監督成績は以下の通りです。

（※詳細については、関連する野球サイト等をご参照ください。）

年度別打撃成績

（※太字はリーグ最高）

監督成績

（※ストライキにより前後期制）

外部リンク

監督の通算成績と情報 Baseball-reference.com

選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube

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