ディヒューマナイザー

『ディヒューマナイザー』は、1992年にブラック・サバスが発表した16作目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、ロニー・ジェイムス・ディオがバンドに復帰したことで大きな話題となりました。

制作背景

当初はロニー・ジェイムス・ディオ、ギーザー・バトラー、トニー・アイオミ、コージー・パウエルというラインナップで制作が予定されていましたが、パウエルが落馬による怪我に見舞われたため、ヴィニー・アピスが再び参加することになりました。最終的には、1981年のアルバム『悪魔の掟』と同じラインナップで制作が進められました。

ディオは本作について、「『ヘヴン&ヘル』を意識したことは一度もなかった。1990年代にフィットすることをやりたかった」「ヘヴィにできる限りヘヴィに作った」と語っており、新たな時代に向けた意欲的な作品であることが伺えます。

楽曲について

「タイム・マシーン」は、1992年公開のアメリカ映画『ウェインズ・ワールド』のサウンドトラックに提供された楽曲で、本作には別バージョンが収録されています。アメリカ、カナダ、日本で発売された初回盤には、『ウェインズ・ワールド』バージョンがボーナス・トラックとして収録されました。

反響と評価

アルバムは全英アルバムチャートで2週チャートインし、最高28位を記録しました。また、シングル「TVクライム」は全英シングルチャートで33位に達しました。

音楽評論家の伊藤政則は、「ロニー・ジェイムス・ディオの演歌調のメロディの起伏は後退したが、一方でBLACK SABBATHらしいディープなリフの美学が復活している」と評しており、ブラック・サバスらしい重厚なサウンドが特徴的な作品として評価されています。

収録曲

全曲ともトニー・アイオミ、ロニー・ジェイムス・ディオ、ギーザー・バトラーの共作です。

1. 電脳の神 - "Computer God"
2. アフター・オール - "After All (The Dead)"
3. TVクライム - "TV Crimes"
4. レターズ・フロム・アース - "Letters from Earth"
5. マスター・オブ・インサニティ - "Master of Insanity"
6. タイム・マシーン - "Time Machine"
7. シンズ・オブ・ザ・ファーザー - "Sins of the Father"
8. トゥー・レイト - "Too Late"
9. I（アイ） - "I"
10. ベリード・アライヴ - "Buried Alive"

ボーナス・トラック

タイム・マシーン（ウェインズ・ワールド・ヴァージョン） - "Time Machine (Wayne's World version)"

カバー

レターズ・フロム・アース
ヨルン - カバー・アルバム『Unlocking the Past』（2007年）に「孤独の定め」とのメドレーとして収録。
I （アイ）
ティア - アルバム『ザ・レイ・オブ・スリム』（2011年）にボーナス・トラックとして収録。

参加ミュージシャン

トニー・アイオミ - ギター
ロニー・ジェイムス・ディオ - ボーカル
ギーザー・バトラー - ベース
ヴィニー・アピス - ドラムス

アディショナル・ミュージシャン

ジェフ・ニコルス - キーボード

『ディヒューマナイザー』は、ロニー・ジェイムス・ディオの復帰によって、ブラック・サバスが新たな方向性を示した作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

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