ヘヴン&ヘル

ブラック・サバス『ヘヴン&ヘル』の概要

『ヘヴン&ヘル』（原題：Heaven and Hell）は、1980年にリリースされたブラック・サバスの9作目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、元エルフおよびレインボーのボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオが加入した後、オリジナルメンバーとは異なるラインナップによる初の作品となっています。ディオの加入はバンドに新たな活力をもたらし、その後のサウンドに大きな影響を与えました。

背景

オジー・オズボーンの脱退を受けて、バンドは新しいボーカリストを探していました。そこでディオを迎え入れることになったのですが、彼の加入直後にベーシストのギーザー・バトラーが離脱します。この時期、ジェフ・ニコルスとクレイグ・グルーバーがベースを担当することになりますが、最終的にバトラーが復帰し、ニコルスはその後キーボードとしてバンドに貢献します。プロデューサーには、ディオが在籍していたレインボーのアルバムで実績のあるマーティン・バーチが起用されました。

アルバムの中では「チルドレン・オブ・ザ・シー」が特に注目され、これはオズボーンが在籍していた時代に作られた曲であり、歌詞やメロディが異なっていたことが後で話題にされました。また、アルバム収録曲「ダイ・ヤング」はディオがレインボー時代に書いた曲です。アートワークは、ブルー・オイスター・カルトのアルバムジャケットを手掛けたリン・カーリーの作品が採用されました。

反響・評価

『ヘヴン&ヘル』は、イギリスで4年半ぶりに全英アルバムチャートのトップ10に食い込み、22週にわたってチャートに留まりました。また、「ネオンの騎士」や「ダイ・ヤング」といったシングルもヒットし、それぞれ全英シングルチャートで22位と41位に達しました。アメリカのBillboard 200では28位まで上昇し、1981年にはRIAAからゴールドディスクに認定されるなど、商業的にも成功を収めています。日本のオリコンLPチャートでもトップ100に入るなど、国際的な評価も得ました。

音楽評論家のGreg Pratoは、このアルバムに関して「バンドのサウンドが新たに生まれ変わり、エネルギーが再注入された」と表現しています。特にアルバムのオープニング曲である「Neon Knights」や、政府に浸透するミッドテンポの「Children of the Sea」、強力なギターリフを持つタイトル曲「ヘヴン&ヘル」は、サバスの作品の中でも特に評価されています。

収録曲

アルバムには以下のトラックが収められています（全曲の作詞・作曲はトニー・アイオミ、ロニー・ジェイムス・ディオ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードの共作）：

1. ネオンの騎士 - "Neon Knights" (3:50)
2. チルドレン・オブ・ザ・シー - "Children of the Sea" (5:34)
3. レディ・イーヴル - "Lady Evil" (4:24)
4. ヘヴン&ヘル - "Heaven and Hell" (6:56)
5. ウィッシング・ウェル - "Wishing Well" (4:05)
6. ダイ・ヤング - "Die Young" (4:42)
7. ウォーク・アウェイ - "Walk Away" (4:21)
8. 孤独の定め - "Lonely Is the Word" (5:51)

このアルバムはブラック・サバスに新たな時代をもたらし、その後のハードロックシーンにも大きな影響を与えました。

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