ディートリヒ・トゥーラウ

ディートリヒ・トゥーラウ：栄光と違反の軌跡

ディートリヒ・トゥーラウ（Dietrich Thurau, 1954年11月9日 - ）は、ドイツのフランクフルト出身の元自転車競技選手です。ロードレースとトラックレースの両方で長年にわたり活躍し、その才能とカリスマ性で多くのファンを魅了しました。しかし、そのキャリアは数々のドーピング違反によっても彩られています。

輝かしい戦績

トゥーラウは、1970年代後半から1980年代にかけて、数々の輝かしい戦績を収めました。

1974年：トラックレース世界選手権・団体追い抜き 優勝
1977年：ツール・ド・フランス 新人賞、区間5勝
1979年：リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 優勝、ドイツ・ツアー総合優勝

特に、1977年のツール・ド・フランスでは、新人賞を獲得し、区間5勝を挙げるなど、その圧倒的な実力を見せつけました。また、1979年には、伝統的なクラシックレースであるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで優勝し、ドイツ・ツアーでも総合優勝を果たすなど、ロードレース界における地位を確立しました。

トラックレースにおいても、6日間レースで通算29勝を挙げるなど、圧倒的な強さを誇りました。パトリック・セルキュ、ギュンター・ハリッツ、アルベルト・フリッツなど、数々の名選手とペアを組み、数々の勝利を重ねました。

ドーピング問題

しかし、トゥーラウのキャリアは、ドーピング問題によっても深く傷つけられました。1980年シーズンには、3回にわたりドーピング陽性反応が確認され、通算で5回のドーピング違反を行っています。これらの違反により、トゥーラウは出場停止処分を受けるなど、その選手生命に大きな影を落としました。

主な戦績一覧

以下に、ディートリヒ・トゥーラウの主な戦績をまとめます。

1974年
トラックレース世界選手権・団体追い抜き 優勝
ルント・ウム・ケルン 優勝
1975年
グランプリ・ド・フルミー 優勝
ツール・ド・ピカルディ 総合優勝
西ドイツ選手権 個人ロードレース & 個人追い抜き 優勝
ベルリン6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
1976年
ブエルタ・ア・エスパーニャ ポイント賞、区間5勝
西ドイツ選手権 個人ロードレース & 個人追い抜き 優勝
ベルリン6日間レース 優勝（+ ギュンター・ハリッツ）
フランクフルト6日間レース 優勝（+ ギュンター・ハリッツ）
1977年
ツール・ド・フランス 新人賞、区間5勝
E3プライス・フラーンデレン 優勝
グロサー・プライス・デス・カントン・アールガウ 優勝
ブエルタ・ア・アンダルシア 総合優勝
ロードレース世界選手権・プロロード 2位
ドルトムント6日間レース 優勝（+ ユルゲン・チャン）
フランクフルト6日間レース 優勝（+ ユルゲン・チャン）
1978年
ジロ・デ・イタリア 区間2勝
チューリッヒ選手権 優勝
スヘルデプライス 優勝
エトワール・ド・ベセージュ 総合優勝
ベルリン6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
フランクフルト6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
グルノーブル6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
1979年
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 優勝
ドイツ・ツアー 総合優勝
ブエルタ・ア・アンダルシア 総合優勝
ツール・ド・フランス 区間1勝
ロードレース世界選手権・プロロード 2位
ベルリン6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
ドルトムント6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
ミュンヘン6日間レース 優勝（+ パトリック・セルキュ）
1981年
ベルリン6日間レース 優勝（+ グレゴール・ブラウン）
フランクフルト6日間レース 優勝（+ グレゴール・ブラウン）
チューリッヒ6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
1982年
西ドイツ選手権・マディソン 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
1983年
ジロ・デ・イタリア 総合5位
フランクフルト6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
ケルン6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
マーストリヒト6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
1984年
ブレーメン6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
コペンハーゲン6日間レース 優勝（+ アルベルト・フリッツ）
1985年
ケルン6日間レース 優勝（+ ダニー・クラーク）
1986年
ブレーメン6日間レース 優勝（+ ヨーゼフ・クリステン）
ミュンヘン6日間レース 優勝（+ ダニー・クラーク）
マーストリヒト6日間レース 優勝（＋ レネ・パイネン）
1987年
ベルリン6日間レース 優勝（+ ウース・フローラー）
ブレーメン6日間レース 優勝（+ ダニー・クラーク）
ケルン6日間レース 優勝（+ レネ・パイネン）
ミュンヘン6日間レース 優勝（+ ウース・フローラー）
チューリッヒ6日間レース 優勝（+ ウース・フローラー）
1988年
* シュトゥットガルト6日間レース 優勝（＋ ロマン・ヘルマン）

まとめ

ディートリヒ・トゥーラウは、その才能と努力によって数々の栄光を手にした一方で、ドーピングという禁断の果実にも手を染めてしまいました。彼のキャリアは、スポーツ界における成功と挫折、そして倫理的な問題について、私たちに多くのことを考えさせてくれます。

ディートリヒ・トゥーラウ - サイクリングアーカイヴス（英語）

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