デイジーチェーン

デイジーチェーンとは、複数の電気・電子機器を数珠つなぎ、または環状に接続する方式です。この接続方法は、電力、アナログ信号、デジタル信号など、様々な情報を伝達するために利用されます。ハードウェア同士の接続だけでなく、電子回路上の部品同士の接続にも用いられる点が特徴です。

概要

デイジーチェーンは、テーブルタップ、IEEE 1394、Thunderbolt、イーサネットなど、多岐にわたる分野で利用されています。アナログ信号を伝達する際は、バス接続が一般的ですが、多数の機器を接続すると信号の減衰が大きくなるため、リピータや増幅器が必要になる場合があります。デジタル信号の伝達においてもバスが用いられることがありますが、場合によっては終端抵抗が必要となることもあります。デジタル信号は、アナログ信号と異なり離散的なため、信号の再生が必要となりますが、情報は変化しません。

種類

コンピューター周辺機器

コンピューター周辺機器の中には、コンピューターに直接接続するのではなく、同じインターフェースを持つ他の機器を経由して接続できるものがあります。この場合、コンピューターに最も近い機器のみが直接接続され、他の機器は数珠つなぎになります。UARTポートを持つ機器の接続がその一例です。このような接続では、接続された機器が協調して動作し、バスの利用を調整する必要があります。

SCSIは、電気的にはバス接続ですが、物理的な配線はデイジーチェーン状になります。そのため、終端抵抗を取り付ける必要があります。MIDI機器も通常、デイジーチェーンで接続されます。MIDI機器にはTHRU端子とOUT端子があり、どちらもデイジーチェーンに利用できます。THRU端子は入力された信号をそのまま出力するため遅延が少ないですが、OUT端子は信号の再生成や加工を行うため遅延が大きくなります。デイジーチェーンが長くなると、時間のずれがシステムを不安定にする可能性があります。

SPI接続のICの中には、デイジーチェーンに対応しているものがあります。JTAG対応の電子回路も、テストのためにデイジーチェーン接続が可能です。Thunderboltでは、RAIDアレイやコンピューターモニタなどをデイジーチェーンで接続できます。USBでは、ハブを介して機器を接続できますが、これは通常デイジーチェーンとは呼ばれません。

ネットワーク・トポロジー

デイジーチェーンは、以下の2つのネットワーク・トポロジーに分類されます。

線形: A-B-C-D-Eのように、機器が直線状に接続される形態です。また、Cから分岐してC-M-N-Oのように接続されることもあります。
環形: 最初の機器と最後の機器が接続され、環状になる形態です。これは「デイジーチェーンループ」とも呼ばれます。

デイジーチェーンは、その柔軟な接続性から、様々な機器やシステムで広く利用されています。しかし、接続が長くなるにつれて、信号の減衰や遅延、タイミングの問題などが発生する可能性があるため、注意が必要です。特にデジタル信号を扱う場合、信号の再生処理による遅延が、システム全体のパフォーマンスに影響を与えることがあります。また、接続する機器の種類や数、信号の性質などを考慮して、適切な接続方法を選択することが重要です。デイジーチェーンの理解は、電子機器の接続やネットワーク構築において、より効率的で安定したシステムを構築するために不可欠です。

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