IEEE 1394

IEEE 1394（FireWire）について

IEEE 1394は、主にオーディオ・ビデオ機器やコンピュータの接続に用いられた高速なシリアルバス規格です。1986年にAppleが提案したFireWireを基に、ソニーやTI、IBMなどの協力を得て1995年に標準化されました。1990年代から2000年代前半にかけて広く使用されましたが、2011年にはThunderboltという新しい規格が登場し、その地位を譲りました。

概要

IEEE 1394は、SCSIの後継規格として開発され、ホットスワップが可能な汎用バスとして設計されています。特にビデオやオーディオ関連機器、消費者向けストレージデバイスとの接続に使われました。また、IDB-1394という自動車用に拡張された仕様も存在します。最大で64台のデバイスを同時に接続可能で、通信速度は初期段階で100 Mbps、200 Mbps、400 Mbpsに始まり、最終的には3200 Mbpsにまで拡張されましたが、この速度はあまり実用化されませんでした。

呼称の違い

1995年の標準化以来、2002年まで統一ブランドが設定されず、同じ規格でも異なる名称が使われていました。

FireWire

元々はAppleが使用していた開発コードネームで、2002年に1394トレードアソシエーションによって正式な名称として認識されました。商標はAppleが保有していますが、無償ライセンスとして提供されています。

i.LINK

これはソニーが自社のデジタルビデオカメラに使用していた名称で、広く世間に普及しました。特に家電製品において一般的に使われました。

DV端子

デジタルビデオカムコーダやデジタルビデオテープレコーダに搭載された規格で、電源供給機能はありません。主に「i.LINK(DV)」という呼称でも知られています。

技術的な特徴

IEEE 1394はプラグ&プレイおよびホットプラグに対応しており、ホスト機器なしでデバイス同士を直接接続できます。そのため、多くのIEEE 1394対応デバイスには二つのポートが備えられています。片方のポートから送信されたデータは、リピータとしてもう一つのポートに再送信されます。このため、デイジーチェーン接続が可能で、例えばパソコンからDVDドライブ経由でHDDに接続することもできます。また、リピータハブを用いたツリー状の接続も可能です。IEEE 1394では様々なデータ伝送に対応したプロトコルスタックが提供されており、SBP2（SCSI バスプロトコル2）によりSCSIコマンドをやり取りすることができます。

接続方式

デイジーチェーン

この方式ではリピータが機器となり、パソコンのポートから他の機器につながる形式です。接続可能な機器の制限があり、最大17台まで接続可能です。

スター接続

1つのパソコンのポートに対して1台の機器を接続する方式です。

ツリー接続

リピータハブを使い、枝分かれさせながら接続する方法です。最大63台まで接続できるため、広範囲のデバイス接続が可能です。

拡張規格

IEEE 1394a（2000年）や1394b（2002年）は、従来の規格の改善や新機能を提供しました。特に1394bは800 Mbpsの転送速度に対応し、変換ケーブルの必要性がありました。

使用例

この規格は、様々なコンピュータ機器や周辺機器で利用されてきました。特にMacintoshやVAIOなど、様々なコンピュータで対応していました。また、デジタルオーディオプレーヤーやオーディオインターフェース、テレビなど多くの家電製品でも使用されていました。

課題と衰退

IEEE 1394は、特許使用の複雑さから、中小企業が参入しにくい状況があったため、普及が進みませんでした。また、USBの急速な普及とThunderboltの登場により、使用頻度が減少しました。これに伴い、IEEE 1394を搭載する製品が次第に減少し、現在ではほぼ使われなくなっています。

以上がIEEE 1394の概要とその技術的特性、使用例や衰退の背景についての詳細です。

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