デイヴィッド・スコット

デイヴィッド・ランドルフ・スコットの生涯と宇宙への旅路

デイヴィッド・ランドルフ・スコット（David Randolph Scott）は、1932年6月6日にアメリカ合衆国テキサス州で生まれました。彼は、アメリカ空軍の軍人であり、同時にNASAの宇宙飛行士として、人類の宇宙開発史に重要な足跡を残しました。

軍人から宇宙飛行士へ

陸軍士官学校を卒業後、スコットは空軍将校に転身しました。その後、マサチューセッツ工科大学（MIT）で航空宇宙工学の修士号を取得。1963年にはNASAの宇宙飛行士に選ばれ、宇宙への道を歩み始めます。さらに、1971年にはミシガン大学から宇宙工学の名誉博士号を授与されています。

宇宙飛行士としての輝かしいキャリア

スコットは、1963年にバズ・オルドリンやアル・ビーンらとともに、宇宙飛行士の第3期生としてNASAに選抜されました。その後、彼は3度の宇宙飛行を経験し、その全てにおいて重要な役割を果たしました。

ジェミニ8号：初の軌道上ランデブーと危機

1966年3月、スコットはニール・アームストロングと共にジェミニ8号に搭乗し、初の宇宙飛行に臨みました。このミッションでは、人類史上初の軌道上ランデブーとドッキングを成功させました。しかし、ランデブー中にスラスターの故障が発生し、制御不能なスピンに陥るという危機に直面。アームストロングの冷静な判断と二人の卓越した操縦技術により、緊急帰還を余儀なくされましたが、無事に地球へ生還しました。

アポロ9号：月着陸船のテスト飛行

1969年3月には、アポロ9号の司令船操縦士として2度目の宇宙飛行を経験しました。このミッションでは、ジム・マクディビット船長とラスティ・シュワイカート月着陸船操縦士とともに、司令船と月着陸船のテスト飛行を実施。宇宙空間での分離・ドッキング実験を成功させ、アポロ計画の重要な一歩を踏み出しました。

アポロ15号：月面探査と新たな発見

1971年7月、スコットはアポロ15号の船長として3度目の宇宙飛行に臨みました。司令船操縦士はアルフレッド・ウォーデン、月着陸船操縦士はジェームズ・アーウィンでした。このミッションでは、アポロ計画で初めて月面車が導入され、月面の探査範囲が大幅に拡大しました。スコットは、月面に足跡を残した7人目の人類となり、月面車を用いてハドレー谷周辺を広範囲に探査。地質学の訓練で得た知識を活かし、貴重な岩石サンプルを採取しました。特に「ジェネシス・ロック（創世記の石）」と名付けられた岩石は、その後の研究に大きな貢献をしました。

月面歩行者としてのレガシー

デイヴィッド・スコットは、月面を歩いた12人の宇宙飛行士の一人であり、アポロ計画の中でも特に重要な役割を担った人物です。現在、月面に降り立った宇宙船の司令官として存命している唯一の人物です。彼の功績は、人類の宇宙開発史に永遠に刻まれるでしょう。

著書と参考文献

スコットは、アレクセイ・レオーノフと共同で『アポロとソユーズ』を著しています。この著書は、宇宙開発の歴史を深く理解する上で貴重な資料となっています。



参考文献
デイヴィッド・スコット、アレクセイ・レオーノフ共著　『アポロとソユーズ』　奥沢駿・鈴木律子訳、ソニー・マガジンズ、2005年

外部リンク
David R. Scott: Official NASA biography
* David R. Scott: Challenges facing the human exploration of Mars public lecture at the Royal Society in London

もう一度検索