アポロ9号

アポロ9号：月面着陸への重要な一歩

アポロ9号は、アメリカのアポロ計画における3回目の有人宇宙飛行であり、月面着陸を目指す上で非常に重要なミッションでした。この飛行では、アポロ司令・機械船と月着陸船をフルセットで打ち上げ、宇宙空間での様々な試験を実施しました。ジェームズ・マクディビット船長、デイヴィッド・スコット司令船操縦士、ラッセル・シュワイカート月着陸船操縦士の3人の宇宙飛行士が搭乗し、月面着陸に不可欠な要素を検証しました。

飛行の目的と実施された試験

アポロ9号の主な目的は、月着陸船のロケットエンジン、宇宙服の生命維持装置、航法装置、ドッキング操作など、月面着陸に必要な技術を軌道上で試験することでした。また、サターンV型ロケットを使用した有人飛行としては2度目となり、その性能も確認されました。10日間の飛行期間中、飛行士たちは月着陸船による初の有人飛行や2回の船外活動を行いました。

さらに、アポロ9号では、史上2度目となる有人宇宙船同士のランデブーとドッキングを実施しました。最初のドッキングはソ連のソユーズ4号と5号によって行われましたが、アポロ9号では宇宙船内での移動を伴うドッキングを初めて成功させました。これらの試験を通じて月着陸船の安全性が証明され、後のアポロ10号での月面着陸への準備が整いました。

飛行士と支援チーム

アポロ9号の搭乗員は以下の通りです。

船長：ジェームズ・マクディビット (James McDivitt)
司令船操縦士：デイヴィッド・スコット (David Scott)
月着陸船操縦士：ラッセル・シュワイカート (Rusty Schweickart)

予備搭乗員には、フレッド・ヘイズ、ジャック・ルーズマ、エドガー・ミッチェル、アルフレッド・ウォールデンが選ばれました。飛行主任は、ジーン・クランツ、ジェラルド・グリフィン、ピート・フランクの3名が担当しました。

飛行の詳細

質量: 司令・機械船 26,801 kg、月着陸船 14,575 kg
軌道: 近地点 189.5 km、遠地点 192.4 km
軌道傾斜角: 32.57°
軌道周期: 88.64分
ドッキング: 1969年3月7日に実施
* 船外活動: シュワイカートとスコットが実施

シュワイカートは、新型の宇宙服の性能試験を行い、宇宙船外での活動を1時間7分行いました。スコットは司令船のハッチから身を乗り出して、シュワイカートの様子を撮影しました。

飛行計画の変遷

アポロ9号の飛行計画は、当初の計画から大きく変更されました。当初は、アポロ1号の予備搭乗員であったマクディビットたちのチームが、司令・機械船と月着陸船を別々のロケットで打ち上げ、軌道上でランデブーとドッキングを行う計画でした。しかし、アポロ1号の事故により計画は大幅に遅延しました。その後、NASAはアポロ計画の再構築を行い、アポロ9号でサターンV型ロケットを使用して、フルセットのアポロ宇宙船を打ち上げる形に変更しました。

計画の成果

アポロ9号の成功は、その後の月面着陸ミッションに大きな影響を与えました。月着陸船の安全性が証明されたことで、アポロ10号が月面着陸の最終準備段階に進むことができました。また、アポロ9号から宇宙船に名称を与えることが許可され、月着陸船は「スパイダー」、司令・機械船は「ガムドロップ」と名付けられました。

宇宙船の現在

アポロ9号の司令船は現在、サンディエゴ航空宇宙博物館に展示されています。機械船と月着陸船は、大気圏に再突入して消滅しました。サターンV型ロケットの第三段は、現在も太陽周回軌道上に存在しています。

まとめ

アポロ9号は、月面着陸への道を切り開いた重要なミッションでした。数々の技術試験を成功させ、アポロ計画の成功に大きく貢献しました。アポロ9号の飛行は、宇宙開発史における重要な一歩として、今後も語り継がれていくでしょう。

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