デイヴィッド・デル・トレディチ

デイヴィッド・デル・トレディチ

デイヴィッド・デル・トレディチ（1937年3月16日 - 2023年11月18日）は、アメリカ合衆国の作曲家です。

概要

デル・トレディチは、「アリスもの」と呼ばれる一連の作品で最もよく知られています。これらの作品は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』にインスパイアされており、明快な調性感とポピュラー音楽のリズムを融合させた、伝統的なスタイルで書かれています。そのため、彼はネオロマンティスト（新ロマン主義者）として分類されています。

来歴

カリフォルニア州クローヴァーデイルで生まれたデル・トレディチは、幼い頃から音楽の才能を発揮し、17歳でサンフランシスコ交響楽団と共演してピアニストとしてデビューしました。その後、カリフォルニア大学バークレー校で学び、卒業後にプリンストン大学に進学。アール・キム、セイマー・シフリン、ロジャー・セッションズらに作曲を師事し、1964年に修士号を取得しました。

初期の作品は、『不思議の国のアリス』から着想を得ており、幅広い音楽様式と形式を実験的に取り入れています。1980年には、管弦楽とソプラノのための「少女アリス Child Alice」の第1部「夏の日のおもいで "In Memory of a Summer Day"」でピューリッツァー賞を受賞し、彼の名声は確立されました。後年の作品も文学的な題材が多く、ヴィクトリア朝時代から現代に至るまで、東西の詩人たちの作品からインスピレーションを得ています。また、彼はゲイであることを公にしています。

デル・トレディチは、音列技法（十二音技法）を習得しているにもかかわらず、一貫して新ロマン主義音楽を支持し、現代音楽に調性を取り戻すことを目指しました。彼の作品は、調性に根ざした作曲技法によって特徴づけられています。

ピューリッツァー賞の他にも、グッゲンハイム奨学金など数々の栄誉に輝き、アメリカ文芸アカデミーの会員にも選ばれています。彼の作品は、国内外の主要なオーケストラから数多く委嘱されており、ゲオルク・ショルティやレナード・スラットキンといった著名な指揮者からも支持を受けました。

主要作品

ピアノ伴奏歌曲集「ジェームズ・ジョイスの詩による6つの歌」 (1959年)
アリス交響曲 An Alice Symphony (1969年)
演奏会形式による1幕オペラ「最後のアリス」 Final Alice (1976年)
ソプラノと管弦楽のための「少女アリス」 Child Alice (1980年～81年)
夏の日のおもいで "In Memory of a Summer Day"
たのしい声 "Happy Voices"
こがねいろの午後 "In the Golden Afternoon"
へんなできごと "Quaint Events"
ソプラノとバリトン、管弦楽のための「蜘蛛と蝿」 The Spider and The Fly (1998年)

外部リンク

公式サイト
ブルース・ダフィーによるインタビュー（1990年１月８日）日本語訳
“前衛”から“ロマンティシズム”へ　−　ニューヨークからの一報告

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