デイヴィッド・トッド (政治家)

デイヴィッド・トッド：オハイオ州を導いた政治家

デイヴィッド・トッド（David Tod, 1805年2月21日 - 1868年11月13日）は、アメリカ合衆国の政治家であり、第25代オハイオ州知事を務めました。特に南北戦争中は、その強いリーダーシップで州をまとめ上げ、重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期の経歴

1805年2月21日、トッドはオハイオ州ヤングスタウンで生まれました。彼はジオーガ郡のバートン・アカデミーで教育を受け、その後、ウォレンで法律を学びました。1827年にはオハイオ州で弁護士としての資格を取得し、ウォレンで郵便局長を務めた経験も持っています。トッドはマホーニングバレーで石炭産業や鉄鋼業の案件を主に扱い、その過程で財を成しました。また、クリーブランド・アンド・マホーニング鉄道の社長に就任し、その知名度を高めました。

オハイオ州知事としての活躍

トッドは1843年と1845年に民主党候補としてオハイオ州知事選挙に立候補しましたが、いずれも敗北を喫しました。彼は選挙運動において、国法銀行制度を強く批判しました。1847年には、ジェームズ・ポーク大統領によって駐ブラジル公使に任命され、1851年までリオデジャネイロに駐在しました。民主党の支持者であったトッドですが、南北戦争が開戦すると、共和党とオハイオ州の戦争支持派民主党員を中心とした親北同盟に参加しました。1861年の州知事選挙で勝利し、1862年から1864年まで知事の任期を務めました。

知事としてトッドは、州の軍隊を整備するために兵士を募集するという困難な課題に直面しました。彼はこの政策を推し進めた結果、「兵士の友」というあだ名で呼ばれるようになり、州民からの反感を買うことになりました。しかし、トッドは連邦政府による徴兵であったと主張しました。彼は陸軍長官のエドウィン・スタントンに対して、「我がオハイオ州は、いかなる要請にも応えていきたいが、これ以上の増員は不可能である」という内容の手紙を送っています。

南北戦争における貢献

南北戦争中、トッドは州の治安維持に尽力しました。1863年7月には、南軍のジョン・ハント・モーガン准将が率いる騎兵隊が侵攻してきた際、急遽市民軍を召集し、対応にあたらせました。また、南軍の侵攻によって破壊・没収された州民の財産を補償するための手配も行いました。歴史家のリチャード・アボットは、州知事としてのトッドを「頑固な民主党員、粗暴な新聞記者、未熟な暴徒、珍妙な秘密結社を相手に戦っていた」と評しました。

戦時中、民主党員のエドソン・オールズによって誘拐容疑で訴えられ、一時拘束されましたが、オハイオ州最高裁判所が人身保護令状を発行し、直ちに救済されました。その後、トッドは連邦政府軍に対し、コッパーヘッド（反戦派）の指導者であるエドソン・オールズやクレメント・ヴァランディガムらを逮捕するよう働きかけました。1862年には、ペンシルベニア州アルトゥーナで開催された戦争知事会議に出席し、エイブラハム・リンカーン大統領の奴隷解放宣言や、戦争に対する合衆国の取り組みを支持しました。

1863年の州知事選挙では、親北同盟からの再指名を受けることができませんでした。トッドと指名を争った戦争派民主党員のジョン・ブラフが反奴隷制の立場を強く打ち出し、州民からの支持を得たためです。トッドは1863年の州知事選挙には出馬せず、1期2年の任期を終えました。その後、リンカーン大統領はトッドに財務長官のポストを提示しましたが、トッドは自身がもはや急進的な共和党員ではないこと、また自身の体力の衰えを理由に就任を辞退しました。1868年11月13日、トッドは卒中により63歳で亡くなりました。妻と7人の子供たちが残されました。

評価

オハイオ州の歴史家であるデルマー・トレスターは、トッドを「熱情的な愛国心、職務への献身的な愛情、高い行政的手腕、そして不撓不屈のエネルギーが特徴的であった。オハイオ州にとっての幸運は、戦争知事の中に、デイヴィッド・トッドがいたことである」と評価しています。

外部リンク

* Ohio History Central （英語）

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