デイヴィッド・ロッジ

デイヴィッド・ロッジ（1935年1月28日 - ）は、イギリスの小説家であり、英文学者です。ロンドンのブロックリーに生まれ育ち、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで英文学を学びました。その後、バーミンガム大学で博士号を取得し、1960年から1987年まで同大学で教鞭を執り、近代英文学の名誉教授の称号も取得しています。長年にわたる大学での経験は、彼の小説の重要なインスピレーション源となっています。

ロッジは、学者や人文科学の世界を舞台にした「キャンパス・ノベル」で広く知られています。彼の作品群は、学問の世界の複雑さ、人間関係の機微、そして知的な探求をユーモラスかつ鋭い視点で描き出しています。初期の作品である『The Picturegoers』（1960年）は、若き日の経験を基に書かれ、後の作品『恋愛療法』にもその片鱗が見て取れます。

1975年に発表された『交換教授』は、ホーソンデン賞を受賞し、ロッジを人気作家へと押し上げました。『交換教授』、『小さな世界』、『素敵な仕事』は、三部作として知られており、それぞれが学問の世界、人間関係、社会風刺といったテーマを独自の切り口で探求しています。これらの作品は、イギリスでテレビドラマ化され、特に『素敵な仕事』はバーミンガム大学で撮影が行われ、ロッジ自身も脚本を担当しました。この経験からも、彼が大学と強い結びつきを持つことが伺えます。

ロッジの作品は、しばしばユーモアと機知に富んだ語り口で、学者の世界や人文科学界の様々な側面を浮き彫りにします。彼はカトリックの家庭で育ち、自身を「不可知論的なカトリック」と表現していますが、カトリック信仰や倫理観といったテーマは、『大英博物館が倒れる』、『どこまで行けるか』、『楽園ニュース』など多くの作品に影響を与えています。

彼の小説には、架空の場所が頻繁に登場します。バーミンガムをモデルにした「Rummidge」という町や、カリフォルニア州バークレーを思わせる「Plotinus」市のある「Euphoria」州などが挙げられます。これらの架空の場所の設定は、作品にリアリティと深みを与え、読者の想像力を掻き立てます。また、ロッジはディケンズの『マーティン・チャズルウィット』の脚本も手がけており、その幅広い才能を示しています。

ロッジは、小説家としての活躍に加え、英文学者としても高い評価を得ており、多くの文学研究書を著しています。『フィクションの言語 イギリス小説の言語分析批評』、『バフチン以後 〈ポリフォニー〉としての小説』、『小説の技巧』など、彼の文学研究は、批評家や学者から高い評価を得ています。1998年には、文学への貢献に対して大英帝国勲章を授与されました。ロッジの著作は、世界各国で翻訳され、多くの読者に愛読されています。彼の作品は、現代社会の様々な問題をユーモラスかつ鋭い視点で捉え、読者に深く考えさせるきっかけを与えてくれます。その洗練された文体と奥深いテーマは、これからも多くの読者を魅了し続けることでしょう。

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