デクリオ

デクリオ：ローマ軍における階級の詳細

デクリオ（羅：decurio）は、古代ローマ軍において用いられた階級の一つです。しかし、その役割は歩兵部隊と騎兵部隊で異なっていました。本稿では、それぞれの部隊におけるデクリオの役割と責任について詳しく解説します。

歩兵部隊におけるデクリオ

歩兵部隊において、デクリオは軍団兵の最小単位であるコントゥベルニウム（contubernium）を統括する役割を担っていました。コントゥベルニウムは、通常8人の兵士で構成され、彼らは共同で一つのテントを共有しました。デクリオは、この8人の兵士たちのリーダーとして、非戦闘時の生活や訓練などを指揮・監督しました。

具体的には、テントの設営、食料の調達、日々の訓練の指導、兵士たちの士気維持などがデクリオの職務に含まれていました。彼らは、兵士たちの日常生活における様々な問題に対処し、軍隊生活に適応できるようサポートしました。また、戦闘時には、コントゥベルニウムの兵士たちを率いて、小隊の一員として戦闘に参加しました。

騎兵部隊におけるデクリオ

騎兵部隊において、デクリオはアウクシリア（補助軍）の騎兵部隊を統括する騎兵隊長を指しました。アウクシリアは、ローマ軍に所属する非ローマ市民によって構成された部隊であり、騎兵部隊は主に偵察や追撃、側面攻撃などの任務を担っていました。

アウクシリア騎兵部隊におけるデクリオは、1つのアラ（ala、アウクシリア内での大隊の総称）に通常4人存在し、それぞれが約30人の騎兵を指揮しました。したがって、1つのアラには合計で約120人の騎兵が所属していたことになります。デクリオは、これらの騎兵たちを率いて、偵察任務、伝令任務、敵部隊への攻撃など、様々な任務を遂行しました。

騎兵部隊のデクリオは、歩兵部隊のデクリオと比較して、より高度な指揮能力と戦闘スキルが求められました。彼らは、騎兵戦術に関する深い知識を持ち、迅速かつ的確な判断力で部隊を指揮する必要がありました。また、自身も優れた騎手であり、戦闘においては先頭に立って敵に立ち向かう勇猛さも求められました。

まとめ

デクリオは、ローマ軍において重要な役割を果たした階級であり、歩兵部隊と騎兵部隊の両方で、部隊の統率と兵士の指導にあたりました。歩兵部隊においては、兵士たちの日常生活を支え、戦闘能力の向上を図る役割を担い、騎兵部隊においては、騎兵部隊を率いて、偵察や戦闘などの任務を遂行しました。デクリオの存在は、ローマ軍の組織力と戦闘能力を支える上で不可欠なものであったと言えるでしょう。

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