デコチャリ

デコチャリとは、デコトラ（デコレーショントラック）のスタイルを模倣して装飾された自転車のことを指します。名称は「デコレーション・チャリンコ」の略とされていますが、一般的な装飾自転車とは異なり、デコトラ特有の estéticaを追求したものを指します。

概要

1970年代に流行したフラッシャー付き自転車（少年用スポーツサイクル）とは一線を画します。デコチャリは、トラックを模した荷台に車用バッテリーを搭載し、電飾を点灯させたり、エアホーンなどの電装品を使用することが可能です。現代のデコチャリの多くは自走可能ですが、日常的な移動手段として使用されることは少なく、その大半はイベントでの展示を目的とした車両です。

装飾においては、反射板などを無秩序に配置するのではなく、トラック用品や自作の大型パーツをバランス良く配置することが重要視されます。パーツは手作りのものが中心ですが、板金屋やデコトラ専門のショップに製作を依頼するケースも見られます。

他の改造自転車との違い

暴走族風の装飾や改造を施した自転車、あるいは単にウインカーやブレーキランプ、LEDなどの電飾類を装備した自転車は、本来のデコチャリとは異なるジャンルであり、「改チャリ」と呼ばれることがあります。また、「BRIDGESTONE」や「Castrol」など、レーシングカーを模したステッカーを貼ったものや、クラクション、バイク用または車用のシートを搭載した自転車も、デコチャリとは区別されます。アニメのロゴやキャラクターのイラストを装飾したものは「痛チャリ」として区別されます。

歴史

デコチャリは、1970年代から存在し、東映映画『トラック野郎・望郷一番星』（1976年公開）のオープニングシーンにも登場しています。このことからも、当時の社会現象であったデコトラ文化が、自転車という身近な存在にも影響を与えたことがわかります。

デコチャリは、単なる移動手段としての自転車ではなく、個人の創造性と美的センスを表現するアート作品としての側面を持っています。独自の進化を遂げながら、日本のサブカルチャーの一翼を担っていると言えるでしょう。

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