デジタルアイデンティティ (企業)

株式会社デジタルアイデンティティ（DigitalIdentity, Inc.）は、東京都渋谷区に本社を置く日本のデジタルマーケティング企業である。株式会社Orchestra Holdingsの完全子会社であり、グループの中核事業会社として位置づけられている。

設立経緯

同社の設立は、やや複雑な経緯を持つ。その源流は、2009年6月に設立された株式会社クリスタライフに遡る。この法人は、2012年3月に株式会社デジタルアイデンティティ（初代）へと商号を変更した。初代デジタルアイデンティティは順調に成長し、2016年9月には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしている。その後、2017年7月3日に持株会社体制への移行を決定し、事業を新設分割する形で、株式会社デジタルアイデンティティ（二代）および株式会社ライフテクノロジーを設立。初代法人は同時に株式会社Orchestra Holdingsへと商号を変更し、純粋持株会社となった。すなわち、現在の株式会社デジタルアイデンティティは、持株会社移行時に事業会社として新たに誕生した法人である。

事業内容

株式会社デジタルアイデンティティは、デジタルマーケティング領域において幅広いサービスを提供している。

広告代理事業

運用型広告を中心に、戦略立案から実行、効果測定まで一貫して手掛ける。リスティング広告やディスプレイ広告をはじめ、動画広告やタイアップ広告の企画・運用も行う。企業のインハウス（内製化）支援も重要なサービスの一つである。

SEOコンサルティング事業

検索エンジン最適化（SEO）に関するコンサルティングを提供する。サイトの内部構造改善、コンテンツマーケティングの企画・実行、高品質なコンテンツのライティング、詳細なアクセス解析に基づいた改善提案などを行う。

クリエイティブ事業

企業のデジタル施策に必要なクリエイティブ制作を担う。Webサイト全体の設計・制作から、集客に不可欠なLP（ランディングページ）やバナーの制作、さらには効果最大化のためのPDCA（計画・実行・評価・改善）サイクル支援も行う。UI/UXコンサルティング、システム構築、受託開発なども手掛けている。

DX支援業務

企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）を支援する。CRM（顧客関係管理）システムの導入支援やインプリメント受託、MA（マーケティングオートメーション）のコンサルティング、DMP（データマネジメントプラットフォーム）の導入・活用支援など、データとテクノロジーを活用したマーケティング基盤構築をサポートする。

運営メディア

デジタルマーケティング事業に関連し、二つのメディアを運営している。一つはハワイの観光、ファッション、オプショナルツアー情報などを提供するハワイ情報サイト「LaniLani」である。もう一つは、企業のWeb担当者向けにデジタルマーケティングの最新情報やノウハウを発信する「デジタルマーケティングブログ」である。

沿革と主な出来事（二代目設立以降）

二代目株式会社デジタルアイデンティティとして事業を開始した2017年以降、同社は積極的な事業拡大戦略を推進している。

2021年には、株式会社テー・オー・ダブリューとの業務提携を実施したほか、Indeedの認定パートナープログラムにおいて高い評価を得てシルバーパートナーに昇格。さらに、Yahoo!広告の検索広告とディスプレイ広告（運用型）の両方で「広告審査認定パートナー」を取得したが、これは当時日本で唯一の事例であった。同年後半には、株式会社ぱむ、テテマーチ株式会社からのSNSマーケティングツール「CAMPiN」事業、そして株式会社ピースの株式取得を通じて、事業領域の拡大と強化を図った。

2022年には、SNSマーケティング事業を手掛ける株式会社ミンツプランニングを子会社化。また、株式会社 LIFULLより、不動産事業者向けマーケティング支援を行うLIFULL Marketing Partnersの全株式を取得し子会社化、株式会社DI Marketing Partnersへ社名変更を行った。

2023年に入ると、前年に子会社化した株式会社ぱむと株式会社DI Marketing Partnersを吸収合併し、組織再編を進めた。加えて、SEO事業を手掛ける株式会社アダムテクノロジーズと、WordPress専門のシステム開発・保守運用を行う株式会社e2eの株式を取得し、それぞれを子会社としている。

これらの動きは、デジタルマーケティング市場における競争力強化と、多様化する顧客ニーズへの対応を目指す同社の戦略を反映している。