デッティンゲンの戦い

デッティンゲンの戦い

デッティンゲンの戦い（1743年6月27日）は、オーストリア継承戦争中の重要な戦闘であり、連合軍とフランス軍の間で行われました。この戦いは、イギリス・ハノーファー連合軍がオーストリア兵と共にノアイユ公爵率いるフランス軍と対峙したもので、特に歴史的な意義を持つ出来事となりました。

背景

1742年初頭、オーストリアは厳しい状況に直面していました。そのため、イギリスは地中海に艦隊を派遣し、ステア伯爵が率いる17,000名の軍をオーストリア領ネーデルラントに派遣しました。しかし、1742年6月にオーストリアとプロイセンの間で講和が成立したことにより状況は変化しました。フランス軍はバイエルン選帝侯領を占拠し、オーストリア側にとって厳しい圧力をかけていました。

1743年になると、戦場はドイツに移り、連合軍はアシャッフェンブルクに到着しました。ここでは、マインツ選帝侯の戴冠式に参加したジョージ2世が連合軍の指揮を執ることとなります。しかし、戦闘が始まる前に補給不足に悩まされ、ハーナウへの撤退を余儀なくされました。デッティンゲンはその退路の途中にあり、フランス軍が待ち受けていました。

戦闘の展開

フランス軍の要塞があったデッティンゲンに対し、連合軍は3列縦隊で進軍を開始しました。しかし、フランス軍はしっかりとした陣地を構築しており、連合軍にとって不意打ちといえる状況にありました。連合軍の偵察が不足していたため、フランス軍の配置に気付くのが遅れました。ノアイユ公爵はフランス軍の増援を考え、さらに兵力を増やす命令を下しました。

連合軍は苦戦しながらも、砲兵隊を起動させ、フランス軍陣地への攻撃を開始しました。フランス軍の騎兵は突撃を仕掛けましたが、連合軍の防衛がしっかりしていたため、一時的には持ちこたえることができました。連合軍の中には、訓練された歩兵たちが存在し、彼らの規律がこの局面で活かされる結果となりました。

攻撃が続く中、フランス側の動きも混乱し、騎兵の突撃は効果的であったものの、その後の歩兵戦ではフランス兵が自軍を砲撃しかける場面も見られました。連合軍は連携を保ちつつ、フランス軍に逆襲をかけ、最終的にフランス軍をマイン川左岸へと追いやることに成功しました。

戦闘の結果

デッティンゲンの戦いの結果、連合軍は勝利を収めたものの、その後の状況は決して安定したものではありませんでした。連合軍は戦後ハーナウへ向かう途中で補給不足に直面し、負傷兵を見捨てざるを得ない状況に追い込まれました。指揮官たちの間でも意見の対立があり、戦闘後の戦略についてまとまることができず、冬を迎えることとなります。

この戦闘は、ジョージ2世にとっても特別な意味をもつものでした。彼は、これがイギリス国王として最後の戦闘となり、戦後には多くの部下に勲章や昇進を与えました。しかし、実際には「幸運な逃走」との評価が一般的でした。一方、連合軍の歩兵は十分な訓練を受けており、全滅を避けることができた結果、その後の歴史に名を残すこととなりました。特に、サンドハースト王立陸軍士官学校の中隊は「デッティンゲン」と名付けられ、この戦闘を記念しています。

また、作曲家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルはこの戦いを記念して、『デッティンゲン・テ・デウム』や『デッティンゲン・アンセム』を作曲し、その歴史的意義は音楽にも表現されています。

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