デニース・ウィリアムス

デニース・ウィリアムス



デニース・ウィリアムス(Deniece Williams)は、1950年6月3日に誕生したアメリカ合衆国の著名な女性歌手シンガーソングライター、そして音楽プロデューサーです。出生名はジューン・デニース・チャンドラー(June Deniece Chandler)といい、「ニーシー(Niecy)」という愛称でも多くのファンに親しまれています。彼女は、ジョニー・マティスとの感動的な二重唱「涙のデュエット」(Too Much, Too Little, Too Late)をはじめ、ロイヤレッツの楽曲をカバーした「イッツ・ゴナ・テイク・ア・ミラクル」、そして映画『フットルーズ』の挿入歌として大ヒットした「レッツ・ヒア・イット・フォー・ザ・ボーイ」といった数々のヒット曲によって、世界的にその名を知られています。

その歩み



インディアナ州ゲーリーに生まれたデニース・ウィリアムスは、音楽と深く結びついた家庭環境で育ちました。父はペンテコステ教会の牧師を務め、おじも同教会の州監督という背景を持ち、母は父と共に教会の聖歌隊で歌っていました。特に母の美しい歌声は、幼いデニースにとって憧れの対象であり、同時に時にプレッシャーをも感じるほどでした。教会礼拝において欠かせないゴスペルを唯一の音楽として根付く厳格な環境の中、会衆の前で歌いながら彼女の音楽の基礎は育まれました。

高校を卒業後、デニースは母が過去にシカゴの病院で准看護師として勤務していた経験も影響し、メリーランド州ボルティモアのモーガン州立大学に進学します。当初は看護師、さらには麻酔専門の看護師(Nurse Anesthetist)を目指しましたが、1年半でこの道を断念し、自主退学を選択します。その間には、シカゴの慈善病院で病棟クラークを務めたり、電話会社に勤務したりといった職を経験しました。しかし、ナイトクラブで歌うアルバイトを得たことが、彼女の人生の大きな転機となります。歌うことの魅力に取り憑かれ、最終的に音楽の道へと本格的に進むことを決意しました。

ほどなくして、スティーヴィー・ワンダーの友人であり、デニースのいとこでもあるジョン・ハリスの計らいにより、スティーヴィーのバックバンドである「ワンダーラブ」(Wonderlove)のコーラスとして参加する機会を得ます。この参加が実現したことで、彼女はツアー活動を通じて、プロフェッショナルとしての貴重な経験を数年間にわたり重ねることができました。

数年間にわたるワンダーラブでの経験を経て、デニースはアース・ウィンド・アンド・ファイアーのリーダーであるモーリス・ホワイトに師事するようになります。ソロデビューに向けてプロデューサーとなったモーリスのもとで、自身の表現力を高めることや、音楽ビジネスの心得といった知識を深く学びました。こうしてスティーヴィーのもとを離れたデニースは、1975年コロムビア・レコードと契約し、シンガーソングライターとして待望のソロデビューを飾ります。

ファーストアルバムの成功を足がかりに、デニース・ウィリアムスはその後、立て続けに大ヒット曲を生み出し、ポップ、R&B、ソウルといった様々なジャンルで活躍しました。キャリアを重ねる中で、やがて自身の音楽的ルーツである福音、すなわちゴスペルへと回帰します。ゴスペル分野でもその才能をいかんなく発揮し、グラミー賞のゴスペル部門で幾度も受賞を果たすに至りました。多様なジャンルを横断しながらも、その根底には常に敬虔な信仰と音楽への深い愛情がありました。

ディスコグラフィ(代表的なスタジオ・アルバム)



  • - 『私はデニース』 - This Is Niecy (1976年)
  • - 『ソング・バード』 - Song Bird (1977年)
  • - 『琥珀色のハーモニー』 - That's What Friends Are For (1978年) ※with ジョニー・マティス
  • - 『ラヴ・コーリン』 - When Love Comes Calling (1979年)
  • - 『マイ・メロディ』 - My Melody (1981年)
  • - 『ミラクル・ラヴ』 - Niecy (1982年)
  • - 『アイム・ソー・プラウド』 - I'm So Proud (1983年)
  • - 『レッツ・ヒア・BOY』 - Let's Hear It for the Boy (1984年)
  • - So Glad I Know (1986年)
  • - 『ホット・オン・ザ・トレイル』 - Hot on the Trail (1986年)
  • - Water Under the Bridge (1987年)
  • - 『AS GOOD AS IT GETS』 - As Good as It Gets (1988年)
  • - Special Love (1989年)
  • - Lullabies to Dreamland (1991年)
  • - Love Solves It All (1996年)
  • - This Is My Song (1998年)
  • - 『ラヴ・ニーシー・スタイル』 - Love, Niecy Style (2007年)

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