デビッド・ロンギ

デビッド・ラッセル・ロンギの生涯と功績

デビッド・ラッセル・ロンギ（David Russell Lange）は、1942年8月4日にニュージーランドで生まれ、2005年8月13日に亡くなるまでの間、同国の政治に多大な影響を与えました。彼は1984年から1989年まで第32代ニュージーランド首相を務め、そのリーダーシップのもとで数々の経済改革を実現しました。

幼少期と教育

ロンギはオークランドのオタフフで育ちました。オークランド大学法学部を卒業した後、ニュージーランド最高裁判所で法廷弁護士として多数の案件を処理するなど、法律の道を歩み始めます。彼はその後、2年間の世界旅行を経てオークランド大学大学院に進学し、法学修士号（刑法専攻）を取得します。

政治家としてのキャリア

1977年にニュージーランド労働党から出馬し、マンゲレ地区で議会に初当選します。この成功を収めた後、1982年には労働党党首に就任し、1984年の総選挙で国民党党首ロバート・マルドゥーンを破り、41歳で首相に就任しました。彼はこの時代のニュージーランドにおいて最年少の首相となります。

経済改革への取り組み

ロンギが首相になった当初のニュージーランド経済は、様々な困難に直面していました。農業政策の失敗や、高失業率、急激なインフレ、財政赤字の拡大など、早急な改革が求められました。特に1970年代のオイルショック以降、農産品の輸出は激減し、国の借金は増加していました。ロンギは経済政策を推進するため、財務大臣にロジャー・ダグラスを任命し、構造改革を大胆に進めました。

このような改革は「ロジャーノミクス」とも呼ばれ、競争導入や税制改革、公共部門の再編成が含まれていました。結果として、ニュージーランド経済は次第に安定を取り戻し、社会のサービス向上にも寄与しました。1987年の選挙では、ロンギの政権が再選されるなど、国民の支持を得ることができました。

政権の混乱と辞任

しかし、1987年の総選挙後、ロンギ政権は党内での対立に直面します。1988年、ロジャー・ダグラスが勧めた国有企業の売却案や税制改革案は、党内での反対派との対立を引き起こしました。最終的にダグラス大臣は更迭され、政権の基盤が揺らぐ中、ロンギは1989年8月に首相の職を辞任しました。後任にはジェフリ・パルマーが就任しました。

政界引退と私生活

首相退任後、ロンギは外務大臣（1984 - 1987）、教育大臣（1987 - 1989）などを歴任しましたが、1996年に健康上の理由で政界を引退しました。彼は、自身の評価については歴史家の判断に委ねると留意し、その後、オークランドの病院で腎不全により死去しました。私生活においては、1989年に離婚した後、スピーチライターの女性と再婚し、4人目の子供が誕生しています。

デビッド・ラッセル・ロンギは、その確固たるリーダーシップと先見性で、多くの歴史的な経済改革を推進した政治家として記憶されています。

もう一度検索