ジェフリ・パルマー

サー・ジェフリー・ウィンストン・ラッセル・パルマー（Sir Geoffrey Winston Russell Palmer）は、1942年4月21日生まれのニュージーランドの政治家、法学者です。第33代ニュージーランド首相を務めたほか、ヴィクトリア大学ウェリントンの名誉講師、国際司法裁判所の判事としても知られています。日本語では、ジェフリー・パールマー、ジェフリー・パルマと表記されることもあります。

生い立ちと学歴

パルマーはネルソン・カレッジを卒業後、ヴィクトリア大学ウェリントンに進学し、政治学と法学を学びました。1967年にはアメリカのシカゴ大学で法学博士号（Ph.D.）を取得しています。彼の専門分野は、不正行為法と国際環境法です。

政界入りと首相就任

大学卒業後、オーストラリア政府に勤務した後、1974年にヴィクトリア大学ウェリントンの教授に就任。1979年の総選挙でニュージーランド労働党から出馬し、クライストチャーチの選挙区で初当選を果たしました。

1984年の総選挙で労働党が勝利し、デビッド・ロンギが首相に就任すると、パルマーは副首相兼法務大臣として入閣し、小選挙区比例代表併用制の導入に尽力しました。この時期、ロンギ首相とロジャー・ダグラス財務大臣が主導する行政・財政・経済改革、いわゆる「ロジャーノミクス」が始まりました。

1987年の総選挙で労働党は再任し、パルマーは環境大臣に就任しました。しかし、ロジャーノミクスを巡る党内の対立が激化し、1989年8月にロンギ首相が辞任。後任として、副首相であったパルマーが第33代ニュージーランド首相に就任しました。

首相退任とその後

学者肌でカリスマ性に欠けるパルマーは国民からの支持を得られず、労働党は次の選挙での勝利は難しいと判断。就任からわずか1年後の1990年9月にマイク・ムーアを後任の党首に任命し、パルマーは国会議員を辞職し、法学の世界へと戻ることになりました。

議員辞職後、ヴィクトリア大学ウェリントン教授に復帰し、1991年から1996年までアイオワ大学の教授を務めました（現在はアイオワ大学の特別招聘教授）。また、ヴァージニア大学でも教鞭をとりました。

その他の活動

2002年には国際捕鯨委員会のニュージーランド代表を務め、2005年にはニュージーランド法務委員会の議長に就任しました。

2010年5月には、国際連合の要請を受け、トルコとイスラエルとの間で発生したガザ支援船襲撃事件に関する調査委員会の会長に就任。この事件の真相解明に尽力しました。

受賞歴と栄誉

セントルイス・ワシントン大学とホフストラ大学より名誉博士号を授与されています。1991年には聖マイケル・聖ジョージ勲章（ナイト）、オーストラリア勲章を受章。2008年には上席法廷弁護士(SC)の称号を得ました。また、2011年にはシカゴ大学の名誉同窓生に選出されています。

サー・ジェフリー・パルマーは、政治家としてのキャリアだけでなく、法学者、教育者、国際的な調停者としても多大な貢献をしており、その功績は広く認められています。

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