デビルズ・バックボーン

『デビルズ・バックボーン』（El Espinazo del Diablo）は、2001年に公開されたスペインのホラーミステリー映画です。ギレルモ・デル・トロ監督が手掛け、スペイン内戦という時代背景を基に、孤児院を舞台にした少年たちの物語が描かれます。

作品概要

本作は、スペイン内戦末期の1939年を舞台に、親を亡くした少年カルロスが、人里離れた孤児院サンタ・ルチアに連れて来られるところから始まります。その孤児院には、不発弾が放置され、職員たちはどこか奇妙で、さらに夜ごと少年の幽霊が現れるという、不気味な雰囲気に包まれています。

監督のデル・トロは、かねてからスペイン内戦を題材にした映画を製作したいという願望を持っていました。しかし、過去の作品制作におけるハリウッドでの経験から、自身のキャリアに失望を感じていた時期もありました。そんな彼に転機をもたらしたのは、本作のプロデューサーであるペドロ・アルモドバルでした。アルモドバルはデル・トロの才能を高く評価しており、彼を支え、本作の製作を後押ししました。

本作は、デル・トロ監督の意向が色濃く反映されており、国際的な映画祭で高い評価を得ています。後の作品である『パンズ・ラビリンス』と類似点も指摘されますが、デル・トロ監督自身は本作を自身の最高傑作の一つと捉えており、その細部までこだわり抜かれた映像美を評価しています。

ストーリー

物語は、内戦が終わりに近づく1939年、少年カルロスが孤児院サンタ・ルチアにやってきたことから始まります。彼はそこで、亡霊となって現れる少年を目撃し、孤児院に隠された秘密に迫ることになります。孤児院の異様な雰囲気、不発弾、そして夜な夜な現れる幽霊の存在が、物語に緊張感と不気味さを加えています。

主要キャスト

ハチント（エドゥアルド・ノリエガ）：孤児院の職員。かつてこの孤児院で育った。吹き替えは咲野俊介が担当。
カルメン（マリサ・パレデス）：孤児院の院長。元共和党員。吹き替えは泉晶子。
カザレス（フェデリコ・ルッピ）：老医師。二分脊椎症の胎児のラム酒漬けを好む。吹き替えは土師孝也。
カルロス（フェルナンド・ティエルブ）：主人公の孤児。吹き替えは村上想太。
コンチータ（イレーネ・ビセド）：ハチントの婚約者。
ハイメ（イニゴ・ガルセス）：カルロスが孤児院で出会う少年。
サンティ（フニオ・バルベルデ）：孤児。

評価

映画の評価は全体的に高く、ロジャー・イーバートは、同時期に公開された『アザーズ』と比較して、本作を好評価しました。また、英国のテレビ局ブラボーが選ぶ「最も怖い映画の場面100」では、本作の幽霊の登場シーンが61位にランクインしています。

映画レビューサイトのRotten Tomatoesでは91%の支持率を獲得し、ホラー映画専門サイトのBloody Disgustingでは「この10年間で最も優れたホラー映画20作品」の一つに選ばれました。その理由として、「上品で作者の思いが込められておりながらも、少年時代の戦争の悲惨な記憶や、忘れられない悪夢を描いている」ことが挙げられています。

作品の特徴

ゴシックロマンスと戦争の融合: デル・トロ監督は本作を「ゴシック・ロマンスと戦争物語の融合」と語っています。
西部劇的な結末: 物語の結末は、西部劇を彷彿とさせる展開となります。
二分脊椎症の胎児: 原題の「El Espinazo del Diablo」（悪魔の背骨）は、二分脊椎症の胎児の背骨を指し、物語の重要な要素として登場します。
視覚的なこだわり: デル・トロ監督は、本作の視覚的な細部にまでこだわり、独特の世界観を創り上げています。

受賞歴

2002年アムステルダム・ファンタスティック映画祭 グランプリ
ジェラルメール国際ファンタスティック映画祭 国際批評家賞

関連情報

本作は、後の『パンズ・ラビリンス』と類似点が見られますが、デル・トロ監督は本作への特別な思い入れを語っています。また、DVDのコメンタリーでは、作品のテーマや制作背景について詳しく解説しています。

外部リンク

公式ウェブサイト （日本語）
公式ウェブサイト （スペイン語）
公式ウェブサイト （英語）
デビルズ・バックボーン - allcinema
デビルズ・バックボーン - KINENOTE
El Espinazo del Diablo - オールムービー（英語）
El Espinazo del Diablo - IMDb（英語）
デビルズ・バックボーン - Box Office Mojo（英語）
デビルズ・バックボーン - Rotten Tomatoes（英語）
* デビルズ・バックボーン - Metacritic（英語）

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