二分脊椎症

二分脊椎症とは

二分脊椎症（にぶんせきついしょう）は、先天的に脊椎骨が適切に形成されないことによって引き起こされる神経管閉鎖障害の一種です。母体の中で胎児の脊椎骨が発達する際、様々な影響で形成不全が生じることがあります。この結果、軽度の症状では気付かれないこともありますが、重度の場合は脊椎の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出てしまい、癒着や損傷を伴うことがあります。

二分脊椎症は主に、開放性二分脊椎症と潜在性二分脊椎症に分類されることがあり、通常は開放性のものが多く言及されます。この状態は脊髄髄膜瘤とも呼ばれ、下肢の麻痺や変形、膀胱や直腸に関する問題が含まれる排泄障害が見られることが多いです。

症状

二分脊椎症は主に仙椎や腰椎に影響を与えることが多いですが、稀に胸椎や頚椎にも影響を及ぼすことがあります。これにより、発生した部位より下の運動機能や知覚が麻痺する他、内臓の機能にも重大な影響を与えることがあります。具体的には、歩行困難や感覚の欠如、また自律神経に影響を及ぼし、安定したバイタルサインの維持が困難になることもあります。

原因と対処法

この障害の原因は、遺伝的要因と環境的要因が複合して発症するとされています。もし第一子に二分脊椎症がある場合、第二子が発症する確率は約4%に上昇します。また、抗てんかん薬であるバルプロ酸やビタミンAの過剰摂取など、多くの催奇形因子がリスクを高める要因として挙げられます。

厚生労働省によると、成長に必要なビタミンB群の一種である葉酸を十分に摂ることで、発症リスクを70%減少させることが可能です。具体的には、女性が妊娠の3ヶ月前から妊娠中にかけて、毎日400μgの葉酸を取り入れることで大きな予防効果が期待されています。しかし、妊娠の計画を立てられないケースも多いため、妊娠可能年齢の女性全員に葉酸の摂取が推奨されています。

合併症

二分脊椎症の患者の半数以上が水頭症を合併する場合があります。水頭症とは脳や脊髄にある脳脊髄液の循環が妨げられ脳圧が上昇する状態を指し、脳神経に深刻な障害をもたらします。この場合、外科的手術で「シャント」を設置し、脳脊髄液の正常な流れを確保する必要があります。

また、小児期に手術を受ける際にラテックス製品に触れる機会が多く、ラテックスアレルギーを発症する人もいます。

治療法

二分脊椎症の治療は、出生後すぐに脳神経外科や小児外科で手術を行うことが一般的です。排泄困難が見られる場合、排尿にはカテーテルを、排便には便秘に対処するための摘便や下剤を使用することがあります。さらに、脳神経外科や小児外科、泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科など、複数の専門医による総合的なケアが求められます。

また、患者それぞれの障害の程度に合わせた医療や教育、就職、結婚に関する問題への対応が重要となり、適切なケースワークが必要とされます。

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