デュアン・オールマン

デュアン・オールマン：早逝の天才ギタリスト

ハワード・デュアン・オールマン（1946年11月20日 - 1971年10月29日）は、アメリカの伝説的なミュージシャン、ギタリストです。彼はオールマン・ブラザーズ・バンドのリーダー兼リードギタリストとして、サザン・ロックの礎を築きました。

生い立ちと音楽への目覚め

デュアンはテネシー州ナッシュビルで生まれ、幼少期にバージニア州ノーフォーク、後にフロリダ州デイトナビーチへと移り住みました。弟のグレッグ・オールマンがギターを始めたことがきっかけで、デュアンも音楽に興味を持つようになります。兄弟はチャック・ベリーなどの楽曲を演奏し、1959年にB.B.キングのライブを観たことでブルースに魅了されました。

バンド活動の始まりとアワーグラス時代

1961年、オールマン兄弟は本格的な音楽活動を開始し、地元のバンドに参加したり、自分たちでバンドを結成したりしました。デュアンは高校を中退し、ギターの練習に没頭。エスコーツというバンドを結成し、後にオールマン・ジョイスと改名しました。1965年にはアワーグラスと改名し、ロサンゼルスに拠点を移して2枚のアルバムを制作しましたが、商業的なポップ・バンドとしての売り出しをレコード会社に強いられたため、バンドの意向とは異なる作品となりました。

スライドギターとの出会いとスタジオミュージシャンとしての活躍

タジ・マハールやブラインド・ウィリー・マクテルの音楽に触発されたデュアンは、スライドギターをレパートリーに加えました。彼は薬の空き瓶を指にはめて演奏し、そのスタイルは後に多くのギタリストに影響を与えました。1968年にアワーグラスが解散した後、デュアンはアラバマ州マッスルショールズのフェイム・スタジオでスタジオミュージシャンとして活動を始めます。ウィルソン・ピケットの「ヘイ・ジュード」のレコーディングに参加し、その演奏がきっかけで多くのアーティストの作品に参加するようになりました。アレサ・フランクリン、キング・カーティス、ボズ・スキャッグスなど、数々の著名なミュージシャンとのセッションを経験しました。

オールマン・ブラザーズ・バンドの結成と成功

スタジオミュージシャンとしての活動に不満を感じ始めたデュアンは、自分のバンドを結成することを決意します。R&B・ジャズドラマーのジェイモ・ジョハンソン、ベーシストのベリー・オークリーらと出会い、弟のグレッグをボーカル兼キーボードとして迎え、1969年3月末にオールマン・ブラザーズ・バンドを結成しました。バンドはジョージア州メイコンを拠点に活動を開始し、1969年9月にデビューアルバム『オールマン・ブラザーズ・バンド』をリリース。1970年には2ndアルバム『アイドルワイルド・サウス』を発表しました。

『いとしのレイラ』への参加

オールマン・ブラザーズ・バンドの活動と並行して、デュアンはエリック・クラプトンのアルバム『いとしのレイラ』に参加しました。クラプトンは以前からデュアンとの共演を熱望しており、マイアミでトム・ダウドと共にレコーディングを行っていた際、デュアンと出会いました。二人は意気投合し、夜通しジャムセッションを行い、デュアンはアルバムの収録曲のレコーディングに参加しました。デュアンのスライドギターは、「いとしのレイラ」に独特の彩りを与え、彼の代表的な演奏の一つとして知られています。

伝説的なライブアルバムと突然の死

1971年3月、オールマン・ブラザーズ・バンドはライブアルバム『フィルモア・イースト・ライヴ』を録音。このアルバムは、ロック史に残る名盤として評価されています。しかし、バンドが成功を収めた矢先の1971年10月29日、デュアンはメイコンでバイク事故を起こし、24歳の若さで亡くなりました。

デュアン・オールマンの遺産

デュアンの死後、オールマン・ブラザーズ・バンドは活動を継続し、1972年にはデュアンの演奏を収録したアルバム『イート・ア・ピーチ』をリリースしました。デュアンの音楽は、彼の死後も多くの人々に愛され、彼のスライドギターのスタイルは、数多くのギタリストに影響を与え続けています。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において、2003年には第2位、2011年の改訂版では第9位に選ばれるなど、彼の音楽的な功績は高く評価されています。

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