デュケーヌ砦の戦い

デュケーヌ砦の戦い

デュケーヌ砦の戦い（1758年9月14日）は、フレンチ・インディアン戦争における重要な戦闘の一つです。この戦いは、イギリス軍がデュケーヌ砦を攻略しようとした遠征の中で発生しました。

背景

イギリス軍は、ジョン・フォーブズの指揮の下、カンバーランド砦に6,000人の兵力を集結させました。さらに、ジョージ・ワシントン率いるバージニア民兵2,000人も加わり、総勢8,000人にも及ぶ大部隊となりました。彼らの主な目標は、戦略的に重要なデュケーヌ砦を攻略することでした。

遠征ルートを巡っては意見の対立がありましたが、最終的にはブラドック遠征路とは異なる道を進むことになりました。また、フォーブズが病に倒れたため、副指揮官のアンリ・ブーケが実質的な指揮を執ることとなりました。

戦闘の経過

1758年9月11日、ジェームズ・グラント少佐は、800人以上の兵を率いてデュケーヌ砦周辺を偵察しました。ブーケは、砦にはフランス兵500人と先住民兵300人が駐屯していると予測し、グラントの分遣隊では手に負えないだろうと考えていました。

9月13日、グラントは砦に接近し、内部の兵力を過小評価していました。彼はわずか50人の偵察隊を派遣し、砦の倉庫を焼却した後、帰還しました。

翌朝、マクドナルド大尉の中隊が砦に近づき、太鼓を鳴らして挑発しました。これに対し、フランス軍と先住民兵が砦から出てきて攻撃を仕掛けましたが、その規模と敏捷さはイギリス軍の予想をはるかに超えるものでした。

イギリス軍は3つの部隊に分かれていましたが、マクドナルド隊は圧倒され、アンドリュー・ルイス率いるバージニア民兵隊も待ち伏せに遭い、撤退を余儀なくされました。先住民兵は森林戦術を駆使し、イギリス軍に大きな損害を与えました。この戦闘で、イギリス軍と植民地軍は342人の死傷者を出し、77連隊からは232人が捕虜となりました。ルイス隊は5人の士官が戦死、1人が負傷、ルイス自身も捕虜となりました。

一方、フランス軍と先住民兵の損害は、戦死8人、負傷8人にとどまりました。

ブーケは夜襲を試みましたが、これも同様の結果に終わりました。

戦闘の記念

1901年、この戦いの地にはアレゲーニー郡裁判所が建設され、戦いの記念碑が設置されました。現在、この場所はピッツバーグ市のグラント・ストリートとなっています。

フランス軍の撤退

最初の攻撃こそ撃退したものの、フランス軍指揮官リグネリは、イギリス軍の圧倒的な兵力に対抗できないと判断しました。11月24日、フランス軍は砦に火を放ち、暗闇に紛れてオハイオ川に退却しました。

進軍中のフォーブズ率いるイギリス軍は、先住民斥候から砦付近で煙が上がっているという情報を受け、調査を開始しました。翌25日、イギリス軍が砦跡に到着すると、そこには先住民によって首を切り取られ、砦の尖った支柱に突き刺された高地連隊兵の遺体が転がっていました。

イギリス軍はデュケーヌ砦を再建し、ウィリアム・ピットにちなんでピット砦と改名しました。後にダンモア砦と改名されましたが、独立戦争初期に元の名称に戻され、その後、砦周辺の町はピッツバーグと呼ばれるようになりました。デュケーヌという名前は、ヌーベルフランスの総督に由来します。

脚注

参考文献

Anderson, Fred. Crucible of War: The Seven Years War and the Fate of Empire in British North America, 1754-1766 (2000) pp 267-285
Dolack, Bill (2008), Founder’s Son Leads Area Through Wars with French and British, Christian History Society of America, http://www.christianhistorysociety.com/alewisAF.html 2010年2月3日閲覧。
Fleming, George Thornton (1922), History of Pittsburgh and Environs: From Prehistoric Days to the Beginning of the American Revolution, Volume 1, New York and Chicago: The American Historical Society, OCLC 18045743, https://books.google.co.jp/books?id=tzUafgt-eskC&dq=grant+duquesne+ligneris+1758&pg=PA391&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q=grant%20duquesne%20ligneris%201758&f=false This includes letters from both Grant and Washington discussing the action.
McConnell, Michael N. A Country Between: The Upper Ohio Valley and Its Peoples, 1724-1774 (1992).
Steele, Ian K. (1994), Warpaths: Invasions of North America, New York and Oxford: Oxford University Press, ISBN 0-19-508222-2
Stewart, David, Sketches of the Character, Manners and Present State of the Highlanders of Scotland, 2 volumes, John Donald Publishers Ltd., Edinburgh, 1977 (originally published in 1822)
White, Richard. Middle Ground: Indians, Empires, and Republics in the Great Lakes Region, 1650-1815 (1991)

一次出典

The Papers of Henry Bouquet : Volume II The Forbes Expedition ed. by Donald Kent et al. (1951)
Writings of General John Cabot Forbes Relating to his Service in North America (1938)
The Papers of George Washington, Colonial Series, volume 5 October 1757-September 1758 ed by W. W. Abbott et al. (1988)

もう一度検索