デリク・ブルジョワ

デリク・ブルジョワ（Derek Bourgeois, 1941年10月16日 - 2017年9月6日）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活動したイギリスの作曲家です。その名前はデレク・ブルジョワなどとも表記されることがあります。

彼は1941年にロンドン郊外のキングストン・アポン・テムズで誕生しました。音楽の道を志し、ケンブリッジ大学で研鑽を積み、首席で卒業するとともに博士号を取得しています。その後、ロンドンの王立音楽大学に進み、著名な作曲家ハーバート・ハウエルズに作曲を、指揮者サー・エイドリアン・ボールトに指揮法を師事しました。学業を終えた後、ブルジョワはブリストル大学やセント・ポール女学院などで教鞭を執る傍ら、作曲活動と各地での演奏活動を積極的に行いました。2002年に教職を退いた後はスペインのマヨルカ島へ移住し、2009年からはイングランド南西部のドーセットで晩年を過ごしました。

ブルジョワの創作活動は非常に多岐にわたりますが、その中心をなすのはオーケストラ作品です。特筆すべきはその交響曲の数であり、生涯で116曲もの交響曲を作曲しました。これらを含むオーケストラ作品は150作を超えます。さらに、室内楽や合唱、吹奏楽、ブラスバンドといった幅広い分野にわたり作品を発表し、総作品数は391に達します。また、自身の作品だけでなく、他の作曲家の作品を異なる編成のために編曲することも行いました。彼の作品の中でも特にブラスバンド作品は人気が高く、イギリスにおけるブラスバンドコンテストの課題曲として委嘱されたり、著名なバンドから新作の依頼を受けたりするなど、この分野で精力的な活動を展開しました。

彼の音楽スタイルは、一般的に新ロマン主義的な傾向を示しています。多くの作品において、明確な調性感に基づいた、情緒豊かで歌心のある旋律が印象的に用いられています。一方で、規模の大きな作品では、時に印象派を思わせる色彩感や、無調による激しい表現も顔を覗かせます。また、吹奏楽やブラスバンドのための作品では、金管楽器の持つ能力を最大限に引き出すような、演奏者にとって技巧的あるいは挑戦的なパッセージが効果的に取り入れられている点が特徴です。

主な作品には以下のようなものがあります。

管弦楽作品
交響曲第1番 - 第116番

吹奏楽作品
交響曲第4番「ワイン・シンフォニー」 (Symphony No. 4 - A Wine Symphony, Op.58a) ※オーケストラ版からの編曲
交響曲第6番「コッツウォルド・シンフォニー」 (Symphony No. 6 - A Cotswold Symphony, Op.109a) ※オーケストラ版からの編曲
交響曲第8番「マヨルカ島の山々」 (Symphony No 8 - The Mountains of Mallorca, Op.184a) ※オーケストラ版からの編曲
トロンボーン協奏曲 (Concerto for Trombone and Concert Band Op.114b)
ウインド・ブリッツ (Wind Blitz, Op.65a) ※ブラスバンド版からの編曲
シンフォニー・オブ・ウィンズ (Symphony of Winds, Op.67)
ウィリアムのためのシンフォニー (Symphony for William, Op.212)

ブラスバンド作品
ブラスバンドのための協奏曲第1番 (Concerto for Brass Band No.1, Op.44)
コンチェルト・グロッソ (Concerto Grosso for Brass Band, Op.61a)
ブリッツ (Blitz, Op.65)
アポカリプス (Apocalypse, Op.187)
セレナーデ (Serenade, Op.22b)
ブラスバンドのためのディヴァージョン (Diversions for Brass Band, Op.97)
* 悪魔と深海 (The Devil and the Deep Blue Sea, Op.131)

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